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ディズニー/ピクサー映画『インクレディブル・ファミリー』ブラッド・バード監督にインタビュー

アニメーション映画『Mr.インクレディブル』の続編となる『インクレディブル・ファミリー』が、2018年8月1日(水)に公開される。

ディズニー/ピクサー長編アニメーション第20作目

『トイ・ストーリー』ではオモチャ、『ファインディング・ニモ』では魚、『モンスターズ・インク』ではモンスターの世界を描いたディズニー/ピクサーが、初めて人間社会を舞台にした前作『Mr.インクレディブル』。

ずば抜けた身体能力を持ち、かつてヒーローとして活躍した家族が、ヒーロー廃業に追い込まれて窮屈な日常に四苦八苦する様と、再び奮起して仕事と家族の絆を取り戻す物語でヒットを記録。2004年度のアカデミー賞では、長編アニメ映画賞を音響編集賞W受賞している。その続編となる『インクレディブル・ファミリー』は、ディズニー/ピクサー長編アニメーション第20作目という記念すべき作品だ。

死者の国を描くミュージカル作品で第19作目『リメンバー・ミー』のヒットも記憶に新しく、『インクレディブル・ファミリー』への期待もますます高まりそう。

ブラッド・バード監督にインタビュー

『インクレディブル・ファミリー』でメガホンを握ったブラッド・バード監督にインタビューを実施。彼の手掛けた前作『Mr.インクレディブル』や『レミーの美味しいレストラン』といったディズニー/ピクサー映画は、アカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞。また『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』『トゥモローランド』など、ジャンルを超えた実写映画の制作にも精力的に携わり、映画界で大きな注目を集めた。

今回スクリーンに約14年ぶりの帰還となる『Mr.インクレディブル』の家族の物語。世界中を虜にしたそのストーリーはどのように誕生したのか?また監督の考えるアニメーションの魅力とは?「僕の一番の目標は、人々を思いっきり楽しませること」と語る監督に、たっぷりと話しを伺った。

2作目を制作したきっかけを教えてください。

1作目の『Mr.インクレディブル』のキャラクターたちを、作品としてもう一度呼び起こしてみたいと思ったからです。『Mr.インクレディブル』は、今まで制作した映画の中で、唯一僕自身のアイディアに100%基づいた作品であり、そしてその制作過程も今までで1番楽しかった作品でもあります。

ゼロからスタートしたオリジナル作品だからこそ、『Mr.インクレディブル』のキャラクターたちは、僕にとって‟家族”のような大切な存在。そのキャラクターたちに再び会えることは僕自身にとっても、本当にハッピーな出来事だったのです。

シリーズ作を制作する難しさとは?

1作目の世界観をそのままに、観客をアッと驚かせる新たなサプライズを用意すること。あまりにもわざとらしい展開にするのはつまらないし、観客の反応を深読みしすぎて複雑にしすぎてもいけない。観客にとって、純粋に何が1番面白いことなのか、考えを巡らせることが大切ですね。

‟ヒーロー家族”という特殊なキャラクター設定が誕生した経緯を教えてください。

まずひょんなことから、ヒーローに興味が湧いた時期がありました。これまでヒーローものの映画やテレビのリメイクはいくつか観てきたけれど、僕自身原作の漫画はほとんど読んだことがなくて。それでコミックブックショップで1時間くらい、スーパーヒーローの作品を眺めていたんです。

それはもの凄く膨大な量だったのですが、そこで僕が気付いたのは、ヒーローの持つ‟スーパーパワー”というのは、あらゆる作者によってもう既に網羅されているということ。そしてさらに気づいたのが、僕自身彼らの“スーパーパワー”に対して1ミリも心を動かされていなかっということです。

それよりも僕が強く興味を持ったのは、これまで焦点を当てられることが少なかった彼らの‟家族”についての物語。そんな自分自身の気付きによって、この作品のアイディアがふと降りてきました。“ヒーローの視点から見た「家族」のストーリーを描こう”って。

左から)ボブ:怪力パパ、ヘレン:ゴム人間ママ
左から)ボブ:怪力パパ、ヘレン:ゴム人間ママ

各キャラクターには、どのように命を吹き込んでいきましたか?

『Mr.インクレディブル』のキャラクターたちには、各々の家族のポジションに見合ったスーパーパワーを与えています。例えば父親のボブは、家族全員を守る力強い存在であってほしいから“怪力人間”に、母親のヘレンは何事にも“柔軟”に対応して家族を纏めてほしいから“ゴム人間”に設定しました。

左から)ヴァイオレット:鉄壁バリアガール、ダッシュ:超高速ボーイ、ジャック・ジャック:能力未知数?!
左から)ヴァイオレット:鉄壁バリアガール、ダッシュ:超高速ボーイ、ジャック・ジャック:能力未知数?!

そして子供たちには、年代に応じた異なるパワーを考えました。ヴァイオレットは、思春期特有の自己防衛心が強い年頃だから“バリア”の力を、10歳のダッシュは、そのみなぎるエネルギーを活かした“超高速パワー”を授けています。そして今回大活躍する最年少の“ジャック・ジャック”については、赤ん坊の持つ未知数の可能性を考え、とんでもなく秘めた能力を宿しました。

それぞれの家族の中でのポジションや、人生で立たされた役割を考慮したスーパーパワーを与えた事が、この作品におけるスーパーヒーロー達の愛すべき部分だと思います。

作品内で、自分の身の回りの人から着想を得たキャラクターはいますか?

ええ、もちろん。例えばヘレンのモデルとなったのは、僕の母や妻。自分の言いたいことをはっきりと伝える、すごく強い女性をキャラクターに反映しました。そしてヴァイオレットとダッシュの関係は、僕自身の経験から影響を受けていると言えるかな。私生活で3人の姉を持つ僕は、姉から煙たがられる弟の気持ちや、姉弟特有の絶妙な関係性を身をもって体験していますからね。リアルに描くことができたと思います。

夫婦間における妙にリアルな会話も、もしかして…

はい(笑)僕と妻の間で起きた言い争いをもとにしたシーンもいくつかあります。中には、セリフそのものをほとんど変えずにストーリーに取り入れてしまったものもあるくらい(笑)

例えば、1作目でダッシュが4年生を卒業する際に起きた2人の口喧嘩は、まさに実際に起きた僕らの会話そのもの(笑)そういった意味で、この映画は僕のプライベートな一面を描いた作品ともいえますね。

監督は子供の頃からアニメーション制作をしていたそうですね。初めて本格的に制作した時の思い出を教えていただけますか。

懐かしい!当時僕は11歳くらいだったのですが、アニメーションの制作が半分程終わった時に、どうも面倒くさくなってきてしまって。(笑)途中で投げ出そうとしたんですよね。それを見かねた母が、コダック社主催の全国規模の映画コンテストのチラシを僕に見せてきたんです。「このコンテストに挑戦してみれば?」って。

けれど、そのコンテストに出場するためには、作品を9月までに完成させることが第一条件で。僕のその当時のやる気とペースのままでは、到底間に合わないと判断しました。「9月までに終わらせるなんて、無理に決まってるじゃないか」と僕がぶっきらぼうに告げると、母は一言「そうよね、あなたには無理よね」って。

実はこれ、母が僕の性格を熟知した上でわざと言い放った言葉だったんですけど(笑)母にそう言われた瞬間、僕は思わずカッっとなってしまって、「僕にはできないって、一体どういう意味だよ?!絶対に完成させてやる!」と、宣戦布告していました(笑)母は僕の“やる気スイッチ”の場所も、その押し方もちゃんと知っていたんですよね。

では、そこから急ピッチで進めて、コンテストに間に合わせたんですね。

はい。本当にギリギリではありましたが、なんとかコンテストに出展することができました。

締め切り直前には、母も編集作業を手伝ってくれて。僕が番号順に振り分けた膨大なアニメーションのカットを、母へと渡していき、それが正しい順番できちんとしたストーリーが生まれるよう、繋ぎ合わせてもらいました。

今こうして思い返してみても、僕の母は本当に協力的な人間だったと思う。こうして僕をアニメーションの世界へと導いてくれた母には、一生感謝してもしきれないですね。

ブラッド・バード監督が初めて作った作品“The Tortoise and the Hare”が転機となり、14歳の時にディズニー・スタジオから注目され、“アニメーション界の神童”と謳われる。その後、当時ディズニーのアニメーターとしては異例の10代から携わることとなる。

Photos(24枚)

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