東京・京橋のアーティゾン美術館では、展覧会「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」を、2025年10月11日(土)から2026年1月12日(月・祝)まで開催する。

“記憶と土地”に向き合う新作インスタレーションを展開

アーティゾン美術館のコレクション作品と現代アーティストの共演により展示を行う展覧会シリーズ「ジャム・セッション」。第6回目となる「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」では、沖縄と東北という異なる土地に根差しつつ、歴史や記憶に目を向けてきたふたりのアーティスト、山城知佳子と志賀理江子を取り上げる。

沖縄を軸に映像表現などを手がける山城知佳子

1976年沖縄県生まれの山城知佳子は、沖縄の歴史や政治、文化をテーマに、写真、ビデオ、パフォーマンスを駆使した作品を発表してきた。近年は、沖縄の問題をこの地だけに留めず、東アジア地域の歴史や人々へと広げ、アイデンティティ、生と死の境界、他者の記憶や経験の継承に向き合っている。

東北をテーマとしてきた志賀理江子

一方、1980年愛知生まれの志賀理江子は、2008年宮城に移住し、人間社会と自然の関わり、記憶などを題材に制作を続けてきた。2011年の東日本大震災以降には、高度経済成長とも重なる「復興」に圧倒された経験から、人間精神の根源を探る作品を手がけている。

地域・文化間の断絶や記憶の風化に着目

展示のテーマとなるのが、「中心と周縁」、「土地と記憶」だ。近年、社会構造の変化や災害を背景に、地域・文化間に潜む断絶や、記憶の風化が進んでいる。とりわけ日本では、かつて人々が共有していた記憶が薄れ、中心と周縁の分断が広がりつつある。本展では、こうした状況に着目するとともに、ともに記憶や歴史に身体的に向きあってきた山城と志賀の表現をとおして、過去といかに向き合うことができるのかを探ってゆく。

山城と志賀が新作を発表

会場では、山城と志賀がそれぞれの視点でアーティゾン美術館の所蔵作品を選定し、コレクションに新たな光を当てるとともに、ふたりの作家による新作のインスタレーションを発表。山城は、沖縄、パラオ、東京大空襲の記憶を映像によって結びあわせ、語りや歌、祈りを織り交ぜつつ、歴史の複層性を映像インスタレーションとして表現する。

また、志賀は、東北・三陸における物流の変化の変化を主題に、写真をベースとした高さ約4mのインスタレーションを展開。東日本大震災以後の復興開発においてもなお、安定しきることのない人間の精神や社会、共同体の姿に目を向け、写真表現を基調に独自の物語で紡ぎだしてゆく。

展覧会概要

展覧会「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」
会期：2025年10月11日(土)〜2026年1月12日(月・祝)
会場：アーティゾン美術館 6・5階展示室
住所：東京都中央区京橋1-7-2
開館時間：10:00〜18:00(金曜日は20:00閉館)
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日：月曜日(10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)、11月24日(月・振)、1月12日(月・祝)は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)、11月25日(火)、 12月28日(日)〜1月3日(土)
観覧料：ウェブ予約チケット 1,200円、窓口販売チケット 1,500円、学生 無料(要ウェブ予約)
※日時指定予約制(9月11日(木)よりウェブ予約開始)
※予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットを販売
※中学生以下はウェブ予約不要
※この料金で同時開催の「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 安井曾太郎」(4階 展示室)を観覧可

【問い合わせ先】
ハローダイヤル
TEL：050-5541-8600