2025年4月4日(金)公開の映画『片思い世界』にて、トリプル主演を務める広瀬すず、杉咲花、清原果耶にインタビュー。
映画『片思い世界』は、「それでも、生きていく」「anone」「大豆田とわ子と三人の元夫」といった連続ドラマを手がけてきた脚本家・坂元裕二のオリジナル脚本による作品。『花束みたいな恋をした』で監督を務めた土井裕泰と4年ぶりにタッグを組み、人生や恋に悩み迷いながらも、優しさを失わずに生きる若い女性たちの姿を描き出す。
主人公は、東京の片隅にある古い一軒家で共に暮らす、美咲・優花・さくらの3人。仕事や学校、バイトに勤しむ彼女たちは家族でも同級生でもないが、互いを思い合いながら楽しく気ままな日々を過ごしている。もう12年、本当の姉妹のような強い絆で結ばれているそんな彼女たちの、誰にも言えない“片思い”とは?
映画公開にあわせて、3人の主人公を演じた広瀬すず、杉咲花、清原果耶にインタビューを実施。“まるで3姉妹”のような関係性や和気あいあいとした雰囲気作りや、心が通じ合ったエピソード、10代から映画界で活躍してきた女優3人が思う“芝居の魅力”まで、たっぷりと話を伺うことができた。
12年間3人で暮らしてきた家族のようでしたが、現場ではどのように関係性を深めていきましたか?
広瀬:常に3人で一緒にいました。撮影終わった後も、会えずに帰ることになったら「先出るね」って一言メッセージしたり、家族みたいに近い距離で連絡を取っていた気がします。「おはよう」「おやすみ」だけでも毎日ちょっと挨拶を交わすって、時間を共有できてる感じがして、すごくいいなって思いました。皆さんどうですか?
杉咲:実は作品が決まったタイミングで、果耶ちゃんが声をかけてくれて3人でご飯に行ったんです。すずちゃんとは約10年ぶりの共演で、果耶ちゃんとは朝ドラのバトンタッチ式以来、共演は初めてでした。最初はすごく緊張しましたが、あの時間があったからこそお互いを知ることができて、肩の力が抜けるような時間でした。
ご飯会では、何を話されたかお聞きしてもいいですか?
杉咲:赤裸々に、結構いろいろ話したよね。
広瀬:回数を重ねれば重ねるほど、赤裸々になっていくよね(笑)。なんでも話してもいいやー!って。
清原:お互いになんでも聞くし、なんでも話すしね(笑)。
杉咲:それぞれ10代の頃からこの仕事を続けてきたからこそ、お互いにどのような経験をしてきたとか、どういう気持ちで過ごしてきたかという話から、よりパーソナルな、家族や友達の話もしました。
清原:私も事前にいろいろ話せていた分、不安に思うことはなかったです。お姉ちゃん2人がどうやって動くか?というのを自分がちゃんと感じていれば、“3姉妹”の姿がきっと皆さんにお届けできるんだろうなと思っていました。
広瀬:わかります。私もそう思ってました~!
美咲・優花・さくらのように、本当の家族ではないけれど、家族に近い存在の方はいらっしゃいますか?
広瀬:私は、地元の親友ですね。親同士も2人で旅行に行くほど仲が良くて、その親友のお兄ちゃんと私の姉も同級生なんです。私たちも小2くらいから一緒にバスケをやっていました。私が忙しい時にペットのご飯やトイレのお世話をしてくれたり、少し家を綺麗に整えてから帰ってくれます。
清原:優しいね~。
広瀬:私がいなくても、私のお母さんとご飯行ったり、お互いの引っ越しも手伝ったりしてる。
杉咲:それはすごい。
広瀬:本当に姉妹、ほぼ家族同然ですね。「ちょっと猫に会いに行っていい?」「今日ちょっと遅いから助かる!水換えといて!」って感じです(笑)。
すごく近い存在ですね…!
広瀬:その友達も東京に住んでるから、年々距離が近づいてきてますね。
清原:私はお友達もそうですし、作品で出会った監督やキャストの方もです。頻繁に会うわけではないけれど、何かの節目やタイミングで集まって、いろんな話をして、同じ方向を見て頑張っている仲間がいるんだなって実感できる方たちはいます。
杉咲:そうだね。すずちゃんみたいに、私はそこまで頻繁に会う人はなかなかいないのですが、撮影期間って家族よりも長い時間を過ごすので。この『片思い世界』でも3人で濃厚な時間を過ごせました…!
清原:照れるね(笑)。
広瀬:にやにやしてた(笑)。
杉咲:(笑)。時間をぎゅっと凝縮して、楽しいときも大変なときも共に過ごした存在はやっぱり特別ですよね。
実際に、皆さんの“心が通じ合った”エピソードがあれば教えてください。
杉咲:2人の表情を見るだけで、セリフを言わずとも心に飛び込んでくる瞬間がありました。2人が背負っている境遇や背景を知ってるからこそ、より近くでそれを見てきた存在として、真に迫ってくるものがあって。
広瀬:私も現場が1番に思い浮かびます。お芝居って、お互いにいろんなものをさらけ出し合いながら、もらった言葉で相手と通じ合っていくっていう環境。セリフがない時は、顔や空気感で気持ちを読み取る力が私もちょっと強くなるし、個人的に2人とのお芝居の中がとても好きでした。
どういった部分が好きでした?
広瀬:もちろん演技なので、同じシーンでもその時々によって毎回違いますけど、私は変わっていけば変わっていくほど嬉しいんですよ。また1つ花ちゃんと清原ちゃんのことを知れたような気がして、勝手に得したような気分になります(笑)。
清原:いいね(笑)。撮影現場でお芝居を通して思うこともあれば、やっぱり朝から晩まで連日一緒にいるので、今日は何が食べたい?今日お肉じゃない?ってテンションが揃う日も多くて。そういう時に私たち通じ合ってるな!(笑)って嬉しくなりました。
朝ドラのヒロインを務められたり、アカデミー賞やエランドール賞など数々の賞を受賞されたり…みなさん若い頃から第一線で活躍されていますが、“演じることの1番の魅力”は何だと思いますか?
広瀬:最近は、自分が楽しいって感じる心を1番大切にしようと思っています。現場にいてお芝居してる時がシンプルに楽しいし、面白いと思うから続けられているのかなと。お芝居を見るのでも、演じるのでも、“心が動く瞬間”ってすごく生きている心地がします。もちろん辛い時もあるけれど、振り返ってみたら人生経験になっているので、お芝居が好きだし、楽しいです。
清原:私は、人との出会いが好きということがお芝居を続けたいと思う大部分を占めていると思います。監督をはじめ、キャストの皆さんや、スタッフの皆さん…人とこんなに出会って別れてって繰り返すと、寂しくなる瞬間もあるのですが、それよりもっともっとたくさんの人のことも知りたくなる。時には絶望したり、ちょっと悔しくなったり。でも、そんな環境でも、みんなで一緒に誰かに届く作品を作る、作り続けていける役者という仕事にすごく魅力を感じています。
杉咲:自分以外の誰かについて想像する時間があることですかね。私は物語の登場人物に対して、実生活で触れ合う人々と同じように接していたい気持ちがあって。私生活で感じたことが、物語にフィードバックされること、そしてその逆ももちろんあると思うので、そういったことを感じられたときに暮らしとの接点を見つけられて、豊かな気持ちになります。
【詳細】
映画『片思い世界』
公開日:2025年4月4日(金)
監督:土井裕泰
脚本:坂元裕二
出演:広瀬すず、杉咲花、清原果耶、横浜流星、小野花梨、伊島空、moonriders、田口トモロヲ、西田尚美
配給:東京テアトル、リトルモア