ノーベル文学賞受賞作家 カズオ・イシグロのデビュー作「遠い山なみの光」が、広瀬すずを主演に迎えて映画化。映画『遠い山なみの光』が、2025年9月5日(金)より全国公開される。
2017年に長編小説「日の名残り」でノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ。その著作は50カ国語以上に翻訳され、世界各国で多数の賞を獲得。特に高い評価を得た「日の名残り」と「わたしを離さないで」は映画化もされた。また、脚本家としても活動を広げ、黒澤明の代表作『生きる』をリメイクした映画『生きる LIVING』の脚本では、アカデミー賞にノミネートされた経験を持つ。
今回映画化される「遠い山なみの光」は、自身の出生地である長崎を舞台に描いた、カズオ・イシグロのデビュー作。物語は、日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキが、母・悦子が暮らす実家を訪れたところから始まる。
作家を目指すニキは、戦後に長崎からイギリスへと渡った母、悦子の半生を綴りたいと考える。娘から頼まれ、過去の話を語り始める。それは、30年前に活気あふれる長崎で出会った、佐知子という女性とその幼い娘とともに過ごしたひと夏の思い出。今まで知らなかった母の話にニキは心揺さぶられるが、やがて「何かがおかしい」ということに気付くのだった。1980年代のイギリスと、戦後間もない1950年代の長崎。時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解くヒューマンミステリーだ。
主人公・悦子…広瀬すず
⻑崎で原爆を経験し、戦後イギリスに移住する。夫と長女を亡くし、思い出のつまった家で1人暮らしをしている。戦後復興期の1950年代には、長崎で夫とともに暮らしていた。ちょうどその頃に佐知子と出会う。
佐知⼦…⼆階堂ふみ
幼い娘の万里子と暮らす謎多き女性。終戦間もない長崎にて悦子と出会い、ひと夏をともに過ごす。
1980年代の悦子…吉田羊
長崎を離れイギリスで暮らす。思い出の詰まったイギリスの自宅の売却を決め、荷物を整理していた中、次女のニキに乞われ、口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める。なお、吉田羊は悦子役として、全編英語での演技に挑んだ。撮影前から単身渡英し、英語のレッスンを受けたという。
ニキ…カミラ・アイコ
日本人の母とイギリス人の父を持つ。大学を中退して作家を目指しており、母・悦子の半生を綴りたいと考える。だが、ニキは次第に母が語る物語に違和感を感じ始め……。
二郎…松下洸平
悦子の夫で傷痍軍人。
緒方…三浦友和
二郎の父。かつては悦子が勤務していた学校の校長で、悦子が大きな信頼を寄せる。
主人公の悦子を演じるのは、映画『流浪の月』や『キリエの歌』、『ゆきてかへらぬ』など、圧倒的な演技力と存在感で活躍し続ける広瀬すず。また、『翔んで埼玉』やドラマ「SHOGUN 将軍」にも出演する二階堂ふみが共演者に名を連ねている。
監督・脚本・編集を務めるのは、⽯川慶。2017年の映画『愚行録』でデビューした石川は、以降『蜜蜂と遠雷』や『ある男』などを手がけた。
なお、映画『遠い山なみの光』は、第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品される。