展覧会「山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ」が、東京のワタリウム美術館にて、2023年8月11日(金・祝)から11月19日(日)まで開催される。
「山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ」は、明治25年(1892年)にオスマン帝国(のちのトルコ)に渡り、トルコと日本の交流に携わった人物、山田寅次郎(やまだ とらじろう)に光をあてる展覧会だ。
慶應2年(1866年)武家に生まれた寅次郎は、15歳の時に茶道の一派・宗徧流(そうへんりゅう)家元の養子になりながらも、東京薬学校(現・東京薬科大学)卒業後には語学を学び、幸田露伴や尾崎紅葉といった文化人と交流を重ねた。約10年にわたるトルコ滞在ののちには、タバコの巻紙・ライスペーパーの製造を国産化し、実業家として活躍。57歳の時には、茶道の家元を襲名し、宗徧流第8世山田宗有となっている。
さて、寅次郎がトルコに渡る契機となったのは、明治23年(1890年)、日本に到着したオスマン帝国軍艦「エルトゥールル号」が、帰路に遭遇した台風によりその乗組員のほとんどを失った事故だ。これに心を痛め、義捐金活動を始めた寅次郎は、集めた義捐金を持参してオスマン帝国へと向かい、スルタンのアブデュルハミト2世に謁見。以後、約10年をこの地で過ごすことになったのだった。
本展の序盤では、寅次郎がトルコと関わる契機となったエルトゥールル号事故と義捐金活動を、映像を通して紹介。オスマン帝国の文化や生活様式を伝えるため、寅次郎が著した『土耳古畫觀』の絵を、アニメーションで紹介する。また、日本文化に関心を抱いていたアブデュルハミト2世の命を受けて輸入した、日本の品々も目にすることができる。
一方、本展の後半では、寅次郎と建築家・伊東忠太(いとう ちゅうた)の交友に着目。忠太は、明治35年(1902年)から3年間にわたって、建築学の研究のために中国、インド、トルコに留学しており、トルコ滞在中には寅次郎の接待を受けた。以後、ふたりは葉書で近況を知らせ合うようになり、そこにはプライベートから建築まで、多岐にわたる内容が記されている。会場では、忠太の公私にわたる日記帳『野帳』や、ふたりの葉書を通して、その交友を紹介する。
展覧会「山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ」
会期:2023年8月11日(金・祝)〜11月19日(日)
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月曜日(9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館)
入館料:大人 1,400円、大人ペア 2,400円、学生(25歳以下)・高校生・70歳以上 1,200円、小・中学生 700円
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者および介助者(1名まで)は1,200円
※入館料のうち、1人200円を義捐金としてトルコ地震の被害地に寄付
【問い合わせ先】
ワタリウム美術館
TEL:03-3402-3001