移住のため、バルセロナからニューヨークへ降り立ったディエゴとエレナ。エレナはグリーンカード抽選に当たり、事実婚のパートナーであるディエゴと共に、新天地での幸せな暮らしを夢見ていた。ところが、入国審査で状況は急変。パスポートを確認した係員に案内され、理由も告げられないまま別室へ連れて行かれる。「入国の目的は?」密室で始まる一方的な取り調べ。やがて、ある質問をきっかけにエレナの胸にディエゴへの不信感が芽生え始める。
わずか17日間の撮影期間、予算も65万ドルという低予算で制作された『入国審査』は、スペイン映画としては史上初めてインディペンデント・スピリット賞の新人作品賞、新人脚本賞、編集賞の計3部門にノミネートされた。SXSW国際映画祭に正式出品され、タリン・ブラックナイト映画祭では新人作品賞を獲得。さらに世界各国の映画祭でも、最優秀作品賞や観客賞など数多くの賞に輝いている。
米レビューサイト「ロッテントマト」では批評家評価100%、オーディエンス評価97%(2025年4月30日時点)という異例の高評価を維持している。
監督と脚本を務め、一夜にして無名のクリエイターから今最も注目される映像作家となったのは、ベネズエラ出身のアレハンドロ・ロハスとフアン・セバスチャン・バスケス。ロハス自身がベネズエラからスペインに移住した際の体験をもとに作り上げた。