金沢21世紀美術館では、「コレクション展 スケールス」を、2020年10月17日(土)から2021年5月9日(日)まで開催する。

美術作品と「スケール」

ある物や空間が、思っていたよりも大きい、ないし小さいと感じられることがある。これは、対象に感じる「大きさ」が、数値として測ることができる物理的な「サイズ」のみならず、それを経験する身体、その記憶、そしてこれらを取り巻く環境に応じて、“相対的”に生じるためだ。

作品と鑑賞者のあいだに生じる「スケール」は、作品が設置される空間の広さや明るさ、鑑賞者との位置関係、そして鑑賞者自身の記憶や時間感覚といった状況により伸び縮みする。「コレクション展 スケールス」では、金沢21世紀美術館所蔵作家の作品を通じて、「スケール」に応じて有機的に変化する鑑賞体験を考察する。

11人＋1組の作家を紹介

本展では、各々プロポーションが異なる7つの展示室を会場に、前後期あわせて11人と1組の作家の作品を展示。

例えば、アニッシュ・カプーアの《L'Origine du monde》は、傾斜するコンクリートに巨大な楕円形を見て取れる作品だ。この黒い楕円をまなざすうちに、平らな面にも、盛り上がった窪みにも、あるいはぽっかりと空いた空虚にも見え、それらのあいだを激しく振動するような鑑賞体験へと観る者を誘うのだ。

また、身体のサイズや周りの環境、そして個人的な記憶を織り込む宮﨑豊治の《眼下の庭》をはじめとして、風景や空虚、記憶、植物や無機物に流れる時間といった、数値化し難く、スケールを変えるごとに異なる姿を現す作品の数々を目にすることができる。

展示機会が希少な作品も

さらに、記憶や帰属をテーマに創作活動を行うス・ドホが、過去に居住した空間を実寸大の持ち運び可能なファブリックで再現した《階段》を15年ぶりに公開。加えて、藍染により、自然の景色を高い抽象性と時間的な奥行きへと昇華した福本潮子の《霞の幔幕》などを同館収蔵後として初めて展示するように、本展は展示機会が希少な作品の数々を「スケール」の視点から紹介する機会となる。

展覧会概要

コレクション展 スケールス
会期：2020年10月17日(土)〜2021年5月9日(日)
［前期 2020年10月17日(土)〜2021年1月31日(日) / 後期 2021年2月2日(火)〜5月9日(日)］
会場：金沢21世紀美術館 展示室1〜6
住所：石川県金沢市広坂1-2-1
休場日：月曜日(11月23日(月・祝)、2021年1月11日(月・祝)、5月3日(月・祝)は開場)、 11月24日(火)、12月29日(火)〜2021年1月1日(金・祝)、1月12日(火)、5月6日(木)
開館時間：10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで、1月2日(土)・3日(日)は17:00まで)
※鑑賞券販売は閉場30分前まで
料金：一般 450円(360円)、大学生 310円(240円)、小中高生無料、65歳以上 360円
※( )内は20名以上団体料金
※前売券の販売はなし
※美術奨励の日(会期中の毎月第2土曜日)および市民美術の日(11月3日)は、金沢市民は 無料で観覧可(要証明書の提示)

■出品作家(アルファベット順)
チェン・ウェイ、ス・ドホ、福本潮子［前期］、フィオナ・タン、イザ・ゲンツケン、田中信行［前期］、アニッシュ ・ カプーア、ツェ ・ スーメイ［後期］、ギジェルモ・クイッカ、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス、宮﨑豊治、ヴラディミール・ズビニオヴスキー［後期］
※出品作品は変更となる場合あり

【問い合わせ先】
金沢21世紀美術館
TEL：076-220-2800