ジョン・カーペンター監督映画『遊星からの物体 X』(82)のデジタル・リマスター版が、2018年10月19日(金)より丸の内ピカデリーほか全国の劇場にて公開される。
本作は、ジョン・W・キャンベル・JrのSFスリラー小説『影が行く』を原作に、ハワード・ホークスが製作した『遊星よりの物体 X』(51)のリメイク作品。ジョン・カーペンターがその強烈な印象から、映画界を目指すきっかけとなったと語る一本だ。
リメイクとは言っても、ハワード・ホークス版よりも原作に近いストーリーと、オリジナリティ溢れる独自の解釈による演出で、南極基地に現れた宇宙生物と12人の隊員たちの恐怖の死闘を描き出し、その名を世界に知らしめることになる。
物語の舞台は冬の南極基地。10万年もの間氷漬けになっていた未知の生命体が解き放たれ、人類に襲いかかる。この“物体X”は人間の体内に侵入しその姿を擬態することが可能で、隊員の仲間へと次々と姿を変えながら、文明社会への被害拡大を防ぐために孤立した基地の中に潜む。そして、それぞれが疑心暗鬼に陥る中、隊員たちは死と隣り合わせの恐怖の一夜を迎える。
主演は『バックドラフト』(91)、『エグゼクティブ・デシジョン』(96)で知られるカート・ラッセル。『ザ・シンガー』(79)以来カーペンター監督との親交は厚く、本作をきっかけに本格的にハリウッドの第一線で活躍することになる。
未知の生物の造型を手掛けたのは、ロブ・ボッティン。後に『ロボコップ』(87)や『セブン』(95)、『ミッション:インポッシブル』(96)などを手掛けることになる人物で、当時弱冠22歳の特殊メイクアップアーティストだ。おぞましく斬新なクリーチャーデザインは今なお高い評価を得ており、後進のクリエーターに大きな影響を与えている。
デジタルリマスター版公開にあたり、日本ホラー映画の代表的存在である黒沢清監督は、本作について「凄い特殊造形と、凄い俳優と、凄い音楽があれば凄い映画ができ上がる。他は何もいらない。それは、1982年カーペンターのこの作品によって実証された映画の基本原理だ」とコメント。
全米公開がスティーヴン・スピルバーグの『E.T.』と同時期だったこともあり、決して興行的な成功を収めたとはいえないが、SFホラーの傑作として今もなお多くのファンを持つ本作。スクリーン公開が実に36年ぶりとなるこの貴重な機会に、是非劇場の大スクリーンで鑑賞してみてはいかがだろう。
『遊星からの物体 X』デジタル・リマスター版
公開日:2018年10月19日(金)
監督:ジョン・カーペンター
脚本:ビル・ランカスター
原作:ジョン・W・キャンベル・Jr 『影が行く』
出演:カート・ラッセル、A・ウィルフォード・ブリムリー、T・K・カーター、デヴィッド・クレノン、キース・デヴィッド、リチャード・ダイサート、チャールズ・ハラハン、ピーター・マローニー、リチャード・メイサー、ドナルド・モファット、ジョエル・ポリス、トーマス・ウェイツ
製作:デヴィッド・フォスター、ローレンス・ターマン
共同製作:スチュアート・コーエン
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