美しくありながら、「着るための服」をつくるということ

デザイン性と実用性のバランスついては、どのように考えていますか？

ウェアラブルであることは、非常に大切だと考えています。ファッション性がありながら、それだけではないもの。リアルな女性たちの存在がヌメロヴェントゥーノにとって重要です。彼女たちが実際に着ることができるということです。

そのため、デザインはベーシックな型がもととなり、そこに新しいマテリアルを用いたり、刺繍などのディテールを加えたりして仕上げていきます。

テーマやインスピレーションを反映させながら、ウェアラブルな服を作ることに難しさは感じますか？

これまでにおいて、難しさを感じたことはありません。私にとってファッションは着ることができるものですので、現実離れした夢のような存在ではないのです。モダンで都会的なものだと考えています。

もしかすると、将来的にそういった難しさを感じることがあるかもしれませんが。

様々なメゾンでの経験は、ヌメロ ヴェントゥーノで生かされていると思いますか？

私の経歴において、経験はたしかに重要です。けれどヌメロ ヴェントゥーノは、これまでの経験とは全く異なるものだといえます。他のブランドで働いているときは、そこにあるDNAを尊重し続けていましたが、これは私のブランドですので、完全に自由な状態です。介入するものは何もありません。

2014年8月、表参道にオープンしたN°21にとって世界初の旗艦店。

2014年8月にオープンした、表参道の旗艦店

旗艦店のデザインについて、どのようなこだわりがあるか教えて下さい。

コンセプトはコレクションと同じです。外観は完全にクリーンなブラックで、内装はモノトーンに統一したイタリアンテイスト。またダミアン・ハーストといったアーティストにインスパイアされたテーブルなどもあります。

そして、ここにもまたコントラストが存在します。真っ黒な外観はミニマルな印象にして、内装はそれと対比するようにバロックやロココ、ダミアン・ハーストによる作品などの要素をリッチなデザインへと仕上げています。

ブランドにとって、日本はどのような存在ですか？

私たちにとって日本は、重要なマーケットです。売上の約20％を占めており、約100店舗で取扱いがあります。また東京のモダンなところ、若者たちも大好きです。若者たちのスタイルは、とても個性がありますね。