メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)は、2026年春夏メンズコレクションを2025年6月27日(金)に発表。ランウェイには、Snow Manのラウールがモデルとして登場した。
メゾン ミハラヤスヒロの今季のテーマは、「普通の人々」を意味する“Ordinary People”。個人のスタイルと結びついていたはずのファッションが表層化し、ファッションがその人自身を表すものではなく単なる記号となったことに対する三原康裕のアイロニーが込められており、表層と内面で異なる面を持つ、人々の“二面性”に着目した。ジャケット、デニム、シャツなどベーシックなカジュアルウェアを基盤にしつつ、デザインやスタイリングの軽妙な遊び心によって立体的な人間らしさを呼び寄せている。
たとえば、ジャケットスタイルには、緩やかなスウェットパンツやリラクシングなショートパンツ、大きくロゴの入ったカットソーなどを組み合わせて“着崩し”ていながらも、シルエットの絶妙なバランス感により凛とした佇まいを見せる。
また、フーディーやチェックシャツ、デニムなどのデイリーウェアには、ディスレクシア(読み書き障害)を創作に昇華するアーティスト、ナヴィンダー・ナングラ(Navinder Nangla)による落書きのようなグラフィティのパッチをオン。“fassion”などのスペルミスを奔放なグラフィックに変換したパッチをスタッズとともに散りばめることで、ベーシックなウェアにユニークなエッセンスをもたらしている。
象徴的なのは、人間の二面性を表す構築的なデザインだ。袖とは別に、背面に腕を通す空間を開けたデニムジャケットやボンバージャケット、抜襟になるようにシャツをドッキングしたキャミソール、袖口が両側に2本ずつあしらわれた、4本袖のブルゾンなどが登場している。
また、デザイナーの三原康裕が1990年代末に作ったドッキングアウターを彷彿させる、異なるアイテムを前後でちょうど半分に切り替えたルックも登場。本来異なるスタイルやシーンで用いられるはずのアイテム同士を唐突に結合させることで、脱構築化を図っている。カーコートとトレンチコート、ブルーストライプシャツとデニムシャツ、スカートとデニムスカートなど、前後で異なる印象のアイテムが、コーディネートにだまし絵のようなアクセントを加えている。
ボトムスは裾に重心を持たせたフレアシルエットに。ワイドデニムパンツをはじめ、イージーパンツやマーメイドシルエットのロングスカートなど、布地をたっぷりと使いしなやかなドレープを効かせたボトムスが多数登場しており、ボリュームのある構築的なトップスとバランスをとりやすいデザインが提案されている。
メゾン ミハラヤスヒロが得意とするプレイフルなモチーフにも注目。バッグのハンドルとして以前のシーズンにも登場していたバナナはパンプスのヒールに落とし込まれたほか、レンタルビデオショップのショッパーはそのフォルムを生かしたブーツとして提案されている。
また、歯磨き粉のチャームや、ポテトチップの袋のクラッチバッグ、タツノオトシゴを象ったバッグなど、ポップな遊び心を効かせたアクセサリーが目を引いた。