企画展「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」が、神奈川県の横須賀美術館にて、2021年4月24日(土)から6月27日(日)まで開催される。その後、新潟、静岡にも巡回する。

“刺繍”が生みだす多彩な世界を紹介

刺繍は、糸や布などが生みだす多彩な表情ばかりでなく、制作に要する時間や作り手の身体性までもが一体となった、濃密な表現技法だ。企画展「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」では、そうした刺繍に着目し、民俗衣装やフランスのオートクチュール刺繍、絵画など、さまざまな分野の作品約230点を紹介する。

中・東欧の民俗衣装

ヨーロッパ中・東部では、生活のなかで多彩な刺繍が育まれてきた。本展では、ルーマニアとスロヴァキアのかわいらしい刺繍作品約60点を、民俗衣装とクロス類を中心に紹介。なかでもスロヴァキアは伝統的に手工芸が盛んであった地域であり、会場では華やかで技巧的な刺繍を目にすることができる。

イヌイットの壁掛け

カナダの先住民族であるイヌイットの人びとは、20世紀半ば以降、狩猟生活から定住生活に移行するなかで、大胆で力強い造形の壁掛けを制作してきた。そこには、氷の家や犬ぞり、狩猟など、かつての生活様式と文化がモチーフとして取り込まれている。会場では、暮らしの記憶をも語り継ぐイヌイットの壁掛けを展示する。

オートクチュール刺繍の粋

オートクチュール刺繍とは、特殊なかぎ針を用いて、糸で縫うのみならず、ビーズやスパンコールといったさまざまな素材を縫いとめることができる技術だ。本展では、1956年に創業したパリの刺繍工房「メゾン・ヴェルモン」の作品から、オートクチュール刺繍の粋を紹介する。

現代作家による“糸で描く物語”

刺繍は、素材が生みだす多彩な表情ばかりでなく、手の身体性や思考の痕跡をも感じさせる表現技法である。会場では、刺繍が持つそうした特質を独自の視点から深める現代作家を紹介。絵本作家のエヴァ・ヴォルドヴァ―をはじめ、小林モー子や蝸牛あやなどによる、“糸で描く物語”を楽しめる。

詳細

企画展「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」
会期：2021年4月24日(土)〜6月27日(日)
会場：横須賀美術館
住所：神奈川県横須賀市鴨居4-1
開館時間：10:00〜18:00
休館日：5月10日(月)、6月7日(月)
観覧料：一般 1,100円(880円)、高大・65歳以上 900円(720円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※高校生(市内在住または在学に限る)は無料
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の所持者と付添者1名は無料

■巡回情報
・新潟県立万代島美術館
会期：2023年5月20日(土)～7月17日(月)
住所：新潟県新潟市中央区万代島5-1 万代島ビル 5階
・静岡県立美術館
会期：2023年7月25日(火)～9月18日(月・祝)
住所：静岡県静岡市駿河区谷田53-2

【問い合わせ先】
横須賀美術館
TEL：046-845-1211