特別展「国宝 聖林寺十一面観音─三輪山信仰のみほとけ」が、東京国立博物館 本館にて、2021年6月22日(火)から9月12日(日)まで開催。その後、2022年2月5日(土)から3月27日(日)まで、奈良国立博物館 東新館に巡回する。

国宝 十一面観音菩薩立像が東京初公開

特別展「国宝 聖林寺十一面観音─三輪山信仰のみほとけ」では、奈良・三輪山の大神寺にかつてあった国宝「十一面観音菩薩立像」や、国宝「地蔵菩薩立像」などの仏像と、仏教伝来以前の日本の自然信仰を示す三輪山禁足地の出土品などを展示する。

日本彫刻の最高傑作ともいわれる国宝「十一面観音菩薩立像」が奈良県から出るのは今回が初めて。きびしい表情や、頭上にあしらわれた面、優雅な天衣や指の造形、蓮の花をかたどった台座など、華やかな表現に注目だ。

三輪山信仰と大神神社、大神寺

仏教伝来以前の古い日本では、神は山、滝、岩や樹木等に宿ると信じられていたため、建築や神の像を造らずに、自然そのものを拝んでいた。その信仰形式が現在まで続いているのが、三輪山を御神体とする大神神社。大神神社には神をまつる本殿は存在しない。

国家的に仏教を興隆した奈良時代には神仏関係の接近が見られ、神に密接にかかわる寺が全国的に造られた。三輪山にも大神寺が造られ、国宝「十一面観音菩薩立像」や国宝「地蔵菩薩立像」といった仏像が安置された。幕末になると、大御輪寺(旧・大神寺)の仏像は聖林寺や法隆寺をはじめとする近傍の寺院に移された。

三輪山への信仰がうかがえる出土品

また、三輪山には人々が入ることができない禁足地があり、そこから古代の祭祀を物語る子持勾玉や、造酒に用いる器具の小さな土製模型が出土している。加えて、『古事記』の神話にも三輪山への信仰がうかがえる記述があることから、古くからの信仰の存在を見て取ることができる。

展覧会概要

特別展「国宝 聖林寺十一面観音─三輪山信仰のみほとけ」
■東京展
会期：2021年6月22日(火)～9月12日(日)
※当初の会期2020年6月16日(火)～8月31日(月)から変更
会場：東京国立博物館 本館特別5室
住所：東京都台東区上野公園13-9
■奈良展
会期：2022年2月5日(土)～3月27日(日)
※当初の会期2021年2月6日(土)～3月28日(日)から変更
会場：奈良国立博物館 東新館
住所：奈良県奈良市登大路町50番地

【問い合わせ先】
TEL 03-5777-8600 (ハローダイヤル)