かわぐちかいじのベストセラーコミック『空母いぶき』が実写映画化され、2019年5月24日(金)に全国で公開される。西島秀俊、佐々木蔵之介が共演。
原作『空母いぶき』は、『沈黙の艦隊』『ジパング』など話題作を手掛けてきたかわぐちかいじによる、累計500万部突破のベストセラーコミック。2014年より『ビッグコミック』にて連載がスタートし現在も継続中の人気作だ。
映画化に伴い、映画『空母いぶき』ではオリジナルの設定で展開。航空機搭載型護衛艦《いぶき》とその乗員たちを中心に、政府、メディア、そして国民たちが、それぞれの立場・思いで、この国が保ち続けた“平和”を守ろうとする熱き闘いを繰り広げる。
そのとき、彼らは何を考えどのような選択をするのか…。この映画が捉えるのは、登場人物一人一人の決断が作る「明日の日本の姿」である。
20XX年12月23日未明ー日本を未曾有の事態が襲う。沖ノ鳥島の西方450キロ、波留間群島初島に国籍不明の武装集団が上陸。わが国の領土が占領された。
直ちに現場へ駆けつけたのは、自衛隊初の航空機搭載型護衛艦《いぶき》率いる第5護衛隊群。艦長・秋津竜太一佐(西島秀俊)と副長・新波歳也二佐(佐々木蔵之介)率いる第5護衛隊群が、現場海域へと向かうと、待ち受けていたのは、敵潜水艦からの突然のミサイル攻撃だった。さらに針路上には、敵の空母艦隊の姿も。
想定を越えた戦闘状態に突入していく中、政府はついに「防衛出動」を発令。ここから、戦後日本が経験したことのない24時間から始まる。息もつかせぬ、手に汗握るドラマの先に待っているものとは…。
主演・西島秀俊と佐々木蔵之介は対象的なキャラクターで描かれる。『人魚の眠る家』『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』の西島秀俊が演じるのは、自衛隊初の航空機搭載型護衛艦「空母いぶき」の艦長・秋津竜太一佐。元航空自衛隊のエースパイロットでありながら、最年少の一佐として海上自衛隊に転属し艦長に抜擢。平和のためには武力の行使も辞さないという覚悟を貫いている。
一方、『嘘八百』『超高速!参勤交代 リターンズ』の佐々木蔵之介が演じる、新波歳也は海上自衛隊一筋。正当防衛以外の攻撃は封印することを信念にもち「空母いぶき」の副長として秋津の下につく。
苦悩の中で対立する2人だが、実は防衛大学同期でトップを争った古くからの仲間だった。
映画『空母いぶき』の公開に先駆け、西島秀俊×佐々木蔵之介にインタビューを行った。
Q.西島さんは、演じられた艦長・秋津竜太をどのような人物だと捉えていますか。
西島:秋津は元エースパイロット。実際に空自(=航空自衛隊)の方に色々とお話を聞く機会があったのですが、優秀なパイロットの条件を尋ねてみると、「判断力が早い」こと、そして「素直」であることが条件として挙がってきました。
音速で飛んでいる中で判断をする必要がある。求められるのは、ベストな判断を時間をかけてくだすよりも、ベターな判断を瞬時にくだすこと。そして、上手くいくことを信じて進む、どんな状況でも落ち着いて素直にまっすぐものを見れることが大切だと知りました。
ですから、元パイロットとしてのまっすぐさ、素直さが出ればいいなと。
同時に、秋津は、普通の空自の人とは違う“超人”なのですから。いま起きていることではなく、もっと先を見て常に行動している。すごく特殊な人間であることをうまく表現しようと思いました。
Q.秋津竜太を堀り下げていく中で見つけた、彼の魅力は?
西島:「何か大きな一線を超えるときは、自分の責任にする」という意識があるように僕は捉えました。同じ男として信頼できるなと思いました。
秋津は一切説明しないので、作中では、周りの人たちから「何でこの人、急にこんなこと言うんだろ」って思われています。しかし、パイロットに重責を負わせるとき、誰かに大きなハードルを越えてもらうとき。否応なく超えなくちゃいけない一線になる前に、自分が命令することで責任を自分で負う人物だと感じていました。
佐々木:あのプレッシャーは大変だと思いますよ。海自の中で一人だけ空自の出身。「なんでそんな決断するの?」っていうジャッジをじっとやり続けなくてはいけない。
すごい役と格闘しているなって見ていましたが、動じないところが西島さんの素晴らしいところ。いつも冷静沈着ですよ。ストンと立ってくれている。やはり艦長であり、座長だなと思いました。
Q.佐々木さんは、副長・新波歳也の魅力はどんなところだと思いますか?
佐々木:新波だけではなく、登場人物すべてに言えることですが、それぞれの立場でベスト、よりベターに真摯に向き合っていく姿に心を打たれました。みんな一人ひとりが核を持っている。
Q.新波を演じる際に意識されていたことはありますか。
佐々木:秋津と新波が、はっきり対象的に見えた方がいいかなと考えていました。空自でありながら、空母の艦長 秋津。僕が演じた新波は海自(=海上自衛隊)で、二人は考え方の道筋、行動が全く違う。
難しいのは、対象的であるけど対立しているわけではないところ。もちろん意見の対立はあるのですが、お互い“平和を守る”という同じ目標を持っている。わかり合えていて、信頼し合っている。
その関係性を描くのに、対面に向き合うのではなくて、お互い画面越しに話し合うなど、立ち位置なども現場で話し合っていきました。
西島:蔵之介さんが、新波を情熱的に、感情を表に出すストレートなキャラクターとして作ってくれたので、向き合う役として非常にいやすかった。秋津のことを一番信頼してくれている新波がいてくれたからこそ、どんな状況でも冷静に受け止め、背負わざるを得ないことをきちんと伝える、秋津という役に繋がっていったと思います。
蔵之介さんが素晴らしいのは、演じられた新波の考え方を、ご本人が本当に信じていらっしゃって、その思いが役に投影していること。理想を追求して、ギリギリまで戦闘せずに人命・平和を守るべきなんだって。ご本人の信念が役に乗り移っているなと、日々感じながら演技していました。