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映画『RAW〜少女のめざめ〜』生肉を食したベジタリアン少女の変貌と本性描く、青春ホラードラマ

映画『RAW〜少女のめざめ〜』が、2018年2月2日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国の劇場で公開される。

生肉を初めて食したベジタリアン少女の変貌と本性描く、ダークな青春ドラマ

インタビュー|写真4

『RAW〜少女のめざめ〜』は、厳格なベジタリアン一家に育った少女・ジュスティーヌが、とあるきっかけで生肉を食して以来、カニバリストという隠された自分の本性を次第に露わにしていくさまを描いたダークな青春ホラードラマ。サイコホラー的要素と合わせて、一人の少女の成長物語としての一面を、リアルでダークな世界観で再現する衝撃作だ。

主人公は、監督であるジュリア・デュクルノーのTV映画『Junior』でデビューを果たした、フランス人若手女優のギャランス・マリリエが演じる。

新時代のカニバル映画のカタチ

人が人を喰らうという人類史上最もタブーとされる「カニバリズム」。それを命題とするカニバル映画は、ルッジェロ・デオダート監督の『食人族』やイーライ・ロス監督『グリーン・インフェルノ』などこれまでに幾度となく描かれてきた。

その新時代を切り開く作品ともいえる『RAW〜少女のめざめ〜』は、源流にトビー・フーパー監督のホラー映画の金字塔『悪魔のいけにえ』を置く作品だ。しかし、カニバリズムという題材でありながら、息を飲むほど美しく繊細な映像美と独特のユーモアが融合することでオリジナル作品へと昇華されている。

『RAW〜少女のめざめ〜』あらすじ

インタビュー|写真1

厳格なベジタリアンの獣医一家に育った16歳の少女ジュスティーヌは、両親、姉と同じ獣医学校に入学。初めて親元を離れ、見知らぬ土地の大学寮で学生生活を送ることになった彼女は、新しい環境で不安に駆られる日々を過ごす。

そんな中、新入生通過儀礼として生肉を食べることを強要されるが、どうしても学校に馴染みたいという思いから家族のルールを破り、人生で初めて肉を口にしてしまう。しかし、その行為によってジュスティーヌの本性が露わになり、次第に変貌をとげていく。以降、彼女の周りで猟奇的な事件が次々に起こるようになるのだった。

【インタビュー】ジュリア・デュクルノー - ファッショナブルなフランス人女性監督が衝撃作を

メガホンを取ったジュリア・デュクルノーは、フランソワ・オゾン監督も通ったフランスの名門映画学校「ラ・フェミス」出身のフランス人女性監督。短編映画『Junior』でカンヌ国際映画祭のペティットレイル・ドールを受賞、そして長編監督デビュー作となる本作では、2016年カンヌ国際映画祭において批評家連盟賞を受賞し、トロント映画祭を筆頭に様々な映画祭で数々の賞を受賞するなど、一躍注目監督の仲間入りを果たした人物だ。

才色兼備のフランス人新人女性監督と謳われる彼女にインタビューを実施。『RAW〜少女のめざめ〜』のストーリー、そしてその見どころについて語ってもらった。

ジュリア・デュクルノー監督
©Photo by Riccardo Ghilardi/Getty Images
ジュリア・デュクルノー監督
©Photo by Riccardo Ghilardi/Getty Images

過去2作でのテーマはどのようなものだったのでしょうか。

これまで手掛けてきた『Junior』と『Mange』は、どちらも90分のTV映画だったのですが、共通して両作ともテーマが「身体的変化」というものがありました。

『Junior』は、昆虫類の脱皮のような形で変化を遂げる、13歳のボーイッシュな女の子の物語。そして『Mange』は、かつて肥満でいじめられていた女性が、彼女の学園生活をめちゃくちゃにした人物と偶然再会したことで復讐を企てる物語。セックスとドラッグの描写が多いパンクな内容だったから、R-16指定を受けるような作品でした。

『RAW〜少女のめざめ〜』は初の長編映画ですね。今回の作品のテーマはどのようなものですか。

『RAW〜少女のめざめ〜』のテーマは、学校や家庭の倒錯した社会の中で、自我を見出すことと道徳的基準。それでいて、『Junior』と同じ道をたどる作品、つまり“メタモルフォーゼ(変容)”だとも思っています。

インタビュー|写真5

それはどのような部分でそう感じられるのでしょうか。

まず、主人公の名前が『Junior』の主人公と同じ名前なのですが、実はそれが物語の中で猟奇的になっていく彼女を示唆していて。

彼女の名前がですか?

ジュスティーヌという名前は、性的快楽の対象となりながらも、そこに喜びを覚える純真な少女を描いた、サド伯爵による小説『ジュスティーヌあるいは美徳の不幸』からとったもの。

ですので、ジュスティーヌというのは、彼女にとって“純粋さの終焉”を意味しています。

インタビュー|写真2

“純粋さの終焉”という言葉は、『RAW〜少女のめざめ〜』にぴったり当てはまる気がします。

主人公のジュスティーヌが両親の母校で、姉が在学中の獣医学校へ入学したところから物語は始まる。そして、親元を離れた彼女が、自由になることで誘惑され、物事に対して境界線がなくなり、心が不安定になっていく。まさにストーリーの中で、彼女は“純粋さの終焉”に導かれていきます。

そんな主人公を演じたギャランス・マリリエは過去作にも出演されていますね。彼女を選んだのはなぜですか。

ギャランスと出会ったのは、彼女のデビュー作でもある『Junior』のキャスティングの時。オーディションの告知では、完璧な少女が大勢やって来るのを避けるため、私はキャラクターの男性的で生々しい面を強調していました。そんな中現れたのが、シャイで小柄なギャランス。でも、子供でありながら、若い成人のような興味深い体形。無邪気なのにどこか不安定。私たちは、彼女のもつカリスマ性とパワーに圧倒されました。

インタビュー|写真3

彼女の演技力が本作でも発揮されています。

主人公のある種ナイーブな自信を表現してほしいシーンがあったのですが、その際に背筋をまっすぐに立ち、顎を上げて歩くように指示しました。すると、彼女の顔つきと姿勢が変化していって。私が思い描くジュスティーヌを表現するように、顔は下を向き、眼つきは斜めに鋭く、不穏な雰囲気を醸しだすようになったのです。

主人公の心理描写はとても難しいように感じますが、ご自身の主人公のイメージとギャランスの演じる主人公の間にギャップはなかったですか。

彼女と私はどこか似ているところがあるから。自分のイメージを彼女に投影するのはとても簡単だったと思います。

では、作品のイメージはいかがでしょうか。

『RAW〜少女のめざめ〜』は、前作と同じ道をたどっているとは言っても、やっぱり既視感のあるアイディアは気持ちが進まない。例えば、当初は医大を舞台にしようと思っていましたが、なんだかありきたりな気がして、最終的に舞台に選んだのは獣医大学ですし。単純なものは好きじゃないんです。自分の映画が“自由な風を吹き込むものであればいい”と願っています。

多方面からも称賛の声

ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督は「素晴らしい! 胃が強くない人は注意だけど、それにしても、なんてすごい映画なんだ!」と『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督は「とてもパワフルで心をかき乱された。心底ギョッとしたよ。」と自身のTwitterでコメントするなど、本国・フランスのみならず世界中から注目を集めている。

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