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映画『3月のライオン』人気漫画を実写化、監督・大友啓史&高橋一生にインタビュー

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漫画『3月のライオン』が実写映画化。主演に神木隆之介を迎え、前編が2017年3月18日(土)から公開中、そして待望の続編が4月22日(土)より公開される。

原作の『3月のライオン』は、大ヒット漫画『ハチミツとクローバー』で世に名を知らしめ、「第4回マンガ大賞2011」大賞をはじめ数多くの受賞歴を持つ、羽海野チカによる漫画。

中学生という異例の若さで将棋のプロとしてデビューし、東京の下町にひとりで暮らす17歳の棋士である桐山零を主人公に、数々の対局と温かな人々との交流を通じて彼の成長を描く人気作品だ。


染谷将太(二海堂晴信役)

実写映画化にあたり、桐山零役を神木隆之介が演じ、零のライバルであり“心友”の二海堂晴信役は染谷将太が務める。他にも、新星から重鎮まで豪華キャストが集結。

零の義理の姉役に有村架純、彼女が恋をする強面のプロ棋士に伊藤英明、皆を脅かす天才棋士に加瀬亮、さらに零を支える川本姉妹には倉科カナ、清原果耶、彼の相談にのる担任教師には高橋一生が抜擢された。

他にも、佐々木蔵之介、豊川悦司、後編にキーパーソンとして登場する伊勢谷友介らが共演者に名を連ねる。


後編 予告編

監督を務めるのは、連続テレビ小説「ちゅらさん」や大河ドラマ「龍馬伝」、『ハゲタカ』、『るろうに剣心』シリーズ、『プラチナムデータ』、『ミュージアム』などを手掛けてきた大友啓史。温かい家族ドラマから、身を削るような血の匂いがするアクション、そして近未来ものまで、様々な作品を残してきた大友が漫画賞を総ナメにする人気作品の実写化に挑む。

後編公開を目の前に、大友監督と高橋一生にインタビューを実施。最新作『3月のライオン』に関して、そして監督・役者というそれぞれの仕事への思いを聞くことができた。

今作で高橋一生が演じたのは、主人公・桐山零の担任教師である林田高志。友達のいない零が屋上でこっそりと昼食を食べていると、ふらっとやってきて声をかける。寄り添うわけでもなく、突き放すわけでもなく、彼を気にかけるその絶妙な距離感は教師という枠を越えた、兄貴のような風格が出ている。

主人公・桐山零の相談相手である担任教師という役どころ、演じる上でどんな点を意識しましたか。

まず念頭にあったのは、零との距離感です。「もし自分がその状況だったら、こう言われたい」ということを考えました。林田も人生の中で一度は“孤独”な道を歩んだ時があったはず。ガラス玉のように繊細な零とどのように接すれば良いか、距離を近づけていく方法を理屈ではなく、感覚で分かっている人物だと思うんですよね。

距離を近づけていく...という点で、林田先生と自身の共通点もしくは相違点はありましたか。

自分は最初から寄り添ってというのは苦手な人間でして…。なので違う点のほうが大きかったです。寄り添おうと思って、接してしまうと、色んな感情がどうしても生まれてきてしまう。振り返った時に結果論として、寄り添った、一緒にいたという形が一番美しいと思っています。

『3月のライオン』で題材となる将棋。高橋さんの将棋に対する印象は今作に関わる前後で変わりましたか。

元々NHKの将棋番組を見ていて、この人達の脳内や心の動きはどうなっているのだろうと思っていたのですが、『3月のライオン』を通して改めてすごい戦いのスポーツだなと思いました。劇中で林田が対局の中継を見ているシーンがあって、じっとしている中に躍動が見えるんです。「どうしたらいんだろう」っていうのが演じられている俳優さんから滲んでいて。一見動きがないように見える「静」に内在する「躍動」が見えて、その瞬間に将棋ってすごいかもしれないと思いました。

大友監督が表現しているように、棋士には色んな個性を持つ人がいて、対局中にそれぞれが自由な時間の使い方をしている。けれどそれすら何かのポーズというか、相手に伝える何かである可能性もあるわけです。もしかしたら、日本人にとって精神的 ・戦略的にも、とても大きな強みになり得るスポーツなのかなと思いました。

これまで様々な作品に出演されていると思うのですが、映画とドラマの違いは何か感じますか。

根本的な違いは、<奇跡を待てる>という事と、<奇跡を作らなくちゃいけない>という事だろうと考えています。ドラマは限られた時間内で<奇跡を作る>というのが大事だと思います。追われている中でひねり出て来る何かってきっとあるはずで。だけど、映画は時間の緩やかな流れの中で<奇跡を待つ>ことができる。ガチッとハマるものが出来上がるその瞬間を切り取るには、じっくり時間をかけないといけない時もあるのではないかと。

大友監督はそれをすごく考えていて、使い分けてくださっているのを撮影期間の中で感じました。これまで映画にはあまり触れていなかったので、『3月のライオン』と関わる中で映画的な時間の流れはドラマとはまた違うと感じました。今作を通して、映画的な時間をゆっくりと楽しく過ごさせて貰ったというのが印象に残っています。

「芝」の上に「居」ることだけをしたい

役者として心がけていることはあれば、教えてください。

演技をいかに捨てて、佇まいだけでどう魅せられるかです。僕はなんとか演技をせずに、「芝の上に居る」ことだけをしたいんです。映画は何も説明せずにそこに居るだけで、自分が思っていることや背負っていることが映し出されてしまう。それが映画の力だと信じているので、あえて何もしないことが大事になってくると思います。

撮影では現場のセットにいること、馴染むことを1番に考えています。以前はテクニカルなことを考えてきましたが、今はとにかく削ぎ落としたくて。もしかしたらすごく大きな賭けかもしれませんが、役柄というよりも、自分の素体で、その場のみなさんと「芝の上に居る」ことだけを共有したいと思っています。

なお、高橋一生がインタビュー当日に着用したチェック柄のジャケットとトラウザーズは、パリのメンズブランド・アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI Alexandre Mattiussi)のもの。クラシックなセットアップに、ブラックのドレスシューズ、レッドの靴下をアクセントに効かせた着こなしは彼の魅力を一層引き立てていた。

大友啓史は自身でも指摘するよう「アクション」のイメージが強い監督だ。久々のヒューマンドラマとなる『3月のライオン』を一体どんな思いで手掛けたのだろう。

原作は連載10年目を迎えるベストセラー漫画ですね。原作を読んだ時の感想を聞かせて下さい、物語をどう捉えましたか。

最初読んだ時は、面白くてすごく感動的なストーリーだなと思いました。ただ実写化となると、原作のファンにまた色々と言われるのだろうな…と(笑) でも同時にせっかく映画化するのなら、他の人ではなく、自分が撮りたいなと思うに至って。

実写化するときに考えたのは、物語の骨格として「桐山零の成長物語」をしっかりと描くことです。将棋のプロ棋士でなければ生きられない桐山零が、“人の豊かさ”みたいなものを一つ一つ発見していくディテールを丁寧に撮っていこうと考えました。

これまで人気漫画の実写化をいくつも手掛けていらっしゃいますよね。今回『3月のライオン』を表現する上で大事にしたことを教えて下さい。

ここ最近の作品はガジェット・アクション・未来型の造形など、時間も含めてテレビではできないプラスアルファの価値をいかに加えていくかを考えて撮影していました。今回は逆に全部削ぐことを意識しています。『3月のライオン』は日常の延長線上にあり、僕らのすぐ隣に生きている人たちの“ありのまま”のドラマです。「削いでいった先に何が見えるか?」をしっかりと描いてみようかなと。だから、いかに棋士を演じる俳優たちを“裸“にしていくことを心がけましたね。

そんな撮影で苦労した点はありましたか?

題材が「将棋」なので、撮影の際にも我慢強さが求められます。これまでの現場は、血みどろになって走り回ったり泣き叫んだりなど、ある意味エキサイティングなものが多かったのですが、今回は全くの真逆でした。将棋の音しかしない15分間をじっと回しているわけです。スタッフが1人1人、うたた寝していくのが分かるんですよ…(笑)

「プロである」ことにこだわる

これまで様々なジャンルの作品を撮られてきたと思うのですが、登場人物に関して共通していることがあれば教えてください。

自分の足で立とうとしている人が好きなので、できる限り自分の映画の登場人物はそういう人を表現してきました。組織や何か違うものに依存するのではなくて、「個人」であるということが価値だと思っています。自分の技術・プロフェッショナリティに依拠して立っているような人。それがプロだと思うし、これまでの作品内容も含めて「プロである」ということにこだわっていると思います。

『3月のライオン』でも後半では、川本家もだんだんと変わってきているんですよ。あかりさんもひなちゃんも、自分の足でどうやって凛として立つかがテーマになっています。

映画は“目の奥の表情”や“背負っているもの”が伝わってしまう

映画の魅力とは何でしょうか

映画の面白い点は、俳優の“目の奥の表情”や“背負っているもの”が伝わってしまうという点ですね。それすら引き受けていく容量が、映画の巨大なフレームにはある。その可能性だけは信じてますし、そこだけは原初的なメディアとして面白いなと思っています。テレビとは違う点だなと。

そんなところに向き合いたくて『3月のライオン』を撮ったということもあります。「将棋」という固いテーマですが、対局をじっと撮っていくと、俳優たちは一手一手の意味を理解しているので、そこに感情が生まれ、目の奥にやっぱり何か出る。それが“映る”ことで映画になる。それを信じられるというのが、映画の面白さですね。

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日時:2017-04-19 20:00