『ババンババンバンバンパイア』のような振り切ったコメディ作品と、あるいはシリアスな作品と、どちらのほうが自分に向いていると思いますか?
吉沢:やっていて好きなのはコメディ、やりやすいのはシリアスです。
シリアスな役のほうがやりやすいというのはどうして…?
吉沢:シリアスな役を演じる機会のほうがシンプルに多いので、引き出しが多いのかもしれません。コメディって人それぞれのセンスがあるじゃないですか。自分が持っているこだわりと、監督が持っているこだわりも違いますし、現場でのすり合わせが大変な印象があります。基本的には監督の指示に従って進めますが、ちょっとした間だったり、セリフの強弱の違いで「これって面白いのかな…」と思う瞬間が結構多いです。
板垣:僕も同じですね。どちらも楽しいですが、シリアスのほうがやりやすい感じがします。コメディのほうがより職人的と言いますか。
『ババンババンバンバンパイア』では、吉沢さんとの掛け合いでコメディチックなシーンが沢山あったのですが、本当に難しくて。リズムやテンポは吉沢さんに作っていただき、僕はそこに乗っからせていただく形で助けていただきました。
実際に目の前で吉沢さんのコメディシーンを見ていかがでしたか?
板垣:台本で読んだ時の予想の5倍くらい吉沢さんのテンションが高くて驚きました (笑)。
吉沢:うん、確かにそれはそうかも。
コメディシーンのほかにチャレンジングだったことはありますか?
板垣:自分をモデルにキャラクターを描いていただく…という前例に無いことで、逆にどう演じていいか分からなくて。そこはかなり苦労しました。だから、1回自分がモデルだということは忘れて、原作と脚本を読んだときに思った自分なりの李仁を演じようと意識していました。
あとは、役が15歳だったので大丈夫かなと心配してましたが、現場で「もしかしたら小学生でもいけるかもね!」と言っていただけたので、それは安心しました(笑)。
吉沢:もうね、李光人と原さん(原菜乃華)の並びが若すぎて、中学生って言われても全然いけるよって(笑)。李光人なら小学生でもいける。短パンが似合いすぎ。
板垣:短パン小僧です(笑)。
吉沢:あれは完全に短パン小僧だったよ。素晴らしかった。
吉沢さんは本作で苦労したことはありますか?
吉沢:今回は歌も歌っていますし、要素が多すぎて、それをちゃんと映画としてのクオリティでお届けするというのは大変でした。愉快だなと思いつつ、とにかくやることが多くて(笑)。
あとは、苦労したところと言うと違うかもしれませんが、原作の森蘭丸の見た目に近づくことにはすごくこだわりました。ウィッグを被るのですが、髪の長さやスタイリングについて何回も微調整して、キャラデザインが極力ぶれないようにしました。
ここからは、2人それぞれの「俳優業への向き合い方」を深堀り。役者としての強みや今後の目標、趣味についても伺った。
吉沢さんが考える“自分らしさ”とは?
自分では相当マイペースだと思います。自分の予定を他人に変えられるのが苦手なので、いつも都合の良いように生きています。周囲の環境に左右されない方かもしれないです。
マイペースな性格が、俳優としてプラスになっていると感じる瞬間はありますか?
周囲の環境に影響されず、自分の世界に集中できるのはいいところかもしれないです。役のためなら、特殊なことでもストイックに頑張れます。でも、プライベートだとできない。ジムに行くとかは結構サボっちゃいます。オンオフの切り替えはしっかりありますね。
30代に入り、俳優業への向き合い方で変わった部分はありますか?
あまり変わっていないと思います。役者が好きで続けているというのは、デビュー時からずっと同じです。
もちろん、自分の転換点になった作品はあります。印象深いのが『オオカミ少女と黒王子』という少女漫画原作の映画。それ以前は、このセリフはどう言う、ここはどう動く、と台本に書いてあることを全部きちっと固めて現場に入っていたのですが、この映画では一切決めずに挑みました。その時、その場で役者さんや監督と作品を作っていく、現場でみんなで作っていくような感覚。今はそれが僕のスタイルになっています。『オオカミ少女と黒王子』で出会った人と未だにご一緒する機会が多く、僕の中では特別な作品です。
板垣さんは大のファッション好きなんだとか。
大好きです。好きなブランドのコレクションは毎シーズンチェックしますし、好きなルックの画像も保存します。パリで開催されたショーに招待いただいた時は、服好き冥利に尽きました。
そこまでファッションに夢中になったきっかけは?
2017年のアレッサンドロ・ミケーレのコレクションを見て衝撃を受けたのがきっかけです。子どもの夢をそのまま表現したみたいな世界観に心奪われてしまって。そこから、服で自分が変わるのが楽しくなっていきました。
個性的なファッションが好みなんですか。
海外ブランド・ドメスティックブランド問わず、真っ黒な服からカラフルな服まで、とにかく幅広い服を着ています。でもやっぱり好きなのは、アレッサンドロ・ミケーレやジョン・ガリアーノが生み出すような服。ロマンの極みを感じるようなデザインに心惹かれます。
幼少期から芸能界で活躍されていますが、別の道を歩もうと思ったことはありますか?
ないですね。芝居にずっと夢中です。
板垣さんが考える俳優業の魅力とは何でしょうか。
他人の感情や人生に干渉できるというのは、やはり俳優の大きな魅力だと思います。1つの作品であったり、1つの音楽であったり、それが誰かの人生を大きく変えるかもしれないというのは、とんでもないことだと思うんですよ。
僕自身、携わる身としても、享受する身としても、今も昔もずっとエンタメというものに救われてきているので。もし自分が何かを与えられる手段を持っているのであれば、届ける義務があると思っています。
最後に、今後の目標を教えていただけますか。
こうやって芝居ができているって、尊いことだと思うんです。好きなことで生きている今が幸せで、嬉しいので、続けること以上に大きな目標はないかもしれない。何十年先もずっと芝居ができたら良いなと思いますし、そのために求められるような人間でありたいと思います。
ありがとうございます。板垣さん、とっても熱い方なんですね。
意外と(笑)。ミステリアスなイメージだとよく言われますが、実は熱いかもしれないです。
映画『ババンババンバンバンパイア』
公開日:2025年7月4日(金)
※当初2025年2月に公開予定だったが、公開日が変更となった。なお、変更前に購入済みのムビチケ前売券(カード・オンライン)は延期後の公開時にも使用可能。
監督:浜崎慎治
脚本:松田裕子
出演:吉沢亮、板垣李光人、原菜乃華、関口メンディー、満島真之介、眞栄田郷敦、堤真一、音尾琢真、映美くらら、笹野高史
主題歌:imase「いい湯だな 2025 imase × mabanua MIX」 (Virgin Music / ユニバーサル ミュージック)
原作: 奥嶋ひろまさ「ババンババンバンバンパイア」(秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載)
配給:松竹
<あらすじ>
老舗銭湯で住み込みのアルバイトをしている森蘭丸。その正体は、450年を生きる吸血鬼。彼が追い求めているのは、最上の味とされる“18歳童貞の血”。その理想に最も近い存在として、銭湯の一人息子で15歳の李仁の童貞をひたすら守り抜いてきた。
しかし、思春期を迎えた李仁に突如として異変が起きる。同じクラスの女子に一目ぼれしてしまったのだ。これに危機感を抱いた蘭丸は、「李仁の童貞は何があっても守り抜く。恋なんてさせるものか」と心に誓い、全力で“童貞喪失阻止作戦”に打って出る。
©2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会 ©奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022