フェティコ(FETICO)の2026年春夏コレクションが、東京コレクション会期中の2025年9月3日(水)、東京・国立代々木競技場 第二体育館にて発表された。
ブランド設立5周年を迎える今季、デザイナーの舟山瑛美がミューズに選んだのは、ドイツの芸術家レベッカ・ホルンと、ルーマニア系フランス⼈の写真家イリナ・イオネスコ、2人の先駆的な女性アーティスト。自身の内面を強く映し出した彼女たちの作品に触れる中で、ブランドのアイデンティティを見つめ直した。
ブランドの核と向き合った今季シーズンは、舟山が「かわいいだけでなく、ストイックで、ユニーク。それでいて美しい。」と誇れる仕上がりに。女性の奥深さを探求してきた5年間の軌跡とともに、纏う女性の自由と自己愛を後押しするようなコレクションとなっている。
女性の造形美を引き立てるピース、とりわけ官能的なランジェリーディテールを提案し続けているフェティコ。今季は、退廃的なバロック様式やシュルレアリスムを写真に落とし込んだイリナ・イオネスコの作品をイメージし、1920年代アールデコのスタイルやヴィンテージランジェリーの要素をキーディテールとして用いた。ユエ(Yue)とのコラボレーションによるブラやショーツを中心に、胸元にレースを配したスリップドレスや網タイツなどをレイヤード。職⼈の⼿仕事によって複数種類のレースをつなぎ合わせたパッチワークドレスも目を惹いた。
定評のあるテーラリングからは、涼やかなナイロンウールツイルを用いたロングコートやドレープを効かせたラップジャケット、バックを大胆にくりぬいたワイドラペルジャケットなどが登場。いずれもウエストを絞り、身体のラインをしなやかに拾うシルエットに仕立てている。ロングスカートの裾からはレースを覗かせ、トラウザーにはフリンジ付きのベルトをあしらうなど、女性らしさを際立たせるディテールにも余念がない。
センシュアルなコレクションに新鮮な風を差し込むのが、オーガニックコットンを使⽤したデニムピース。背中に⼤胆なカットアウトを施したデニムジャケットや、プリーツペプラムを配したデニムビスチェ、ダマスク柄をジャカード織りで表現したデニムパンツなどが登場した。デニム本来が持つカジュアルな性格に、フェティコのロマンティックなエッセンスを融合することで、デニムでありながらドレッシーな雰囲気を醸し出している。
⽻根や⾓をまとい⾝体を拡張する作品やパフォーマンスを通じて、⼥性の⾝体の新たな可能性を模索したレベッカ・ホルン。彼女を象徴する羽や放射状のモチーフは、ディテールとして随所に落とし込まれている。たとえば、ジャージーサテンのトップスやスカートには、歩むたびに優雅に揺らめくフリンジをオン。小物類にも、羽モチーフを配したハーネスやフリンジピアス、放射状の造形から着想を得たアシンメトリーなプリーツリボンバレッタなどが提案された。
コレクションを彩るバッグにも注目したい。今季はフェティコ発のアイコンバッグ「アーチ(Arch)」が誕生。その名の通り、緩やかにカーブを描いたアーチ状のフォルムが特徴のハンドバッグだ。サイズはスモールとラージの2種を揃え、可憐なバラをかたどったクロシェットには、鍵を取り付けることができる。
なお、ランウェイショーの会場では、コスメブランド・THREE(スリー)との初コラボレーションによる特別な香りの演出がなされた。モデルのメイクアップにも、官能的な血色を演出する、THREEとフェティコのコラボレーション限定色のマルチカラーバーム「カラーカスタード」が使用されている。