シュガーヒル(SUGARHILL)の2026年春夏コレクションが、2025年6月17日(火)、東京・淀橋教会にて発表された。
今季で設立10周年を迎えるシュガーヒル。「節目とは、終わりではなく、新たな始まり。」そんな気持ちを込め、シュガーヒルのこれまでを振り返りつつ、物語の新たな一歩を祝うようなコレクションを展開する。
原点回帰の意味を込めて、ショーの演出は初めてランウェイショーを開催した2022年秋冬シーズンを再現。頭上にはミラーボールが回っており、幻想的な光がちらちらと舞っている。会場の中央ではロックバンド「踊ってばかりの国」の下津光史が弾き語りを披露し、ショー開始前から会場を熱気に包み込んだ。
下津の歌唱が終了したのを合図に照明が落とされ、ライブの高揚感そのままにランウェイがスタート。ファーストルックにはミラーボールの光と呼応する“キラキラ”のシャツが登場し、10周年の煌びやかな幕開けを飾った。長年着込んだような加工を施したヴィンテージ風のレザージャケット、そして70年代レトロを感じさせるフレアデニムとの組み合わせで、シュガーヒルらしさを残しつつ華やかさを演出している。
ランウェイでは過去のシーズン披露されてきたキーピースが次々に登場し、新たなスタイリングで提案された。センシュアルな透け感のシャツと、裾にダメージ加工を施したデニムパンツの組み合わせは、2025年春夏コレクションからのインスパイアだろうか。このほかにも、無数の穴を開けたトレンチコートや、編み上げディテールを配したチェックシャツ、ソリッドなアクセントを添えるハーネスなど、シュガーヒルの“これまで”をなぞるようなアイテムが散見された。
ミリタリーやワークのテイストを基調にしながら、無骨さを中和する手法は今季も継続している。ダメージジーンズにカモ柄のミリタリーベストを重ねたルックは、中に優美な落ち感のチェックシャツを仕込むことでエレガントな佇まいを演出。レザージャケットはすっきりと襟をカットし、フロントに小ぶりなスナップボタンを並べることで、上品なノーカラージャケットへと変貌を遂げている。
こうしたミリタリーやワークを軸にしたランウェイで、テーラードスーツはその端正さで目を引く。ジャケットはダブルブレストのピークドラペルという存在感のあるディテールを採用。センタープレスを配したトラウザーにタッセルローファーという最もクラシカルな組み合わせで、カジュアルな雰囲気のコレクションを引き締めた。ネクタイとポケットチーフのボルドーカラーもまた、大人の気品を醸し出している。
左右で表情の異なるアシンメトリーなピースにも注目したい。右足は淡いダメージデニム、左足はハリ感のあるノンウォッシュデニムで構成したデニムパンツは、シュガーヒルの歩んできた道と、これから始まるまっさらな未来、その対比を表現したかのような1着。同様に、左右で異なる素材をドッキングさせたデニムジャケットや、装飾の有無で表情に変化をつけたライダースなどが登場し、コレクションに遊びをもたらした。