1978年の発売以降ロングセラーを誇る動物型のビスケット「たべっ子どうぶつ」が、『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』としてアニメ映画化。おかしとしてはもちろん、近年ではグッズ販売やコラボレーションカフェでも話題を呼び、幅広い層から愛されている。
劇中では、らいおんくんやぞうくんをはじめとするおなじみのキャラクターたちと、映画オリジナルキャラクターのぺがさすちゃんたちが世界的人気を誇るスーパーアイドルグループ「たべっ子どうぶつ」として活躍。おかしと人間が仲良く暮らしていたはずのスイーツランドに忍び寄る世界征服の危機、そして仲間のピンチを救うため、“かわいいだけが取り柄”の「たべっ子どうぶつ」たちが立ち向かっていく。
今回は、『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』で主人公らいおんくん役の声優を務めたTravis Japan(トラビス・ジャパン)の松⽥元太と、物語のカギを握るキャラクターぺがさすちゃん役の髙石あかりにインタビュー。自身が演じたキャラクターの魅力的なポイントや、おかしにまつわる思い出から、チームワークを良くする秘訣、“壁”に直面した時の対処法まで話を聞いた。2人の軽妙なやりとりにも注目だ。
最初に「たべっ子どうぶつ」が映画化すると聞いた時の、率直な感想を教えてください。
松田:小さい頃から知っているおかしですし、みんなが大好きな「たべっ子どうぶつ」がどんな物語になるんだろう、とわくわくしました。台本を読むとポップでおかしな物語で、子供も大人も楽しめる作品になるだろうなと思いました。
髙石:「たべっ子どうぶつ」はおかしとしても身近な存在でしたし、最近はグッズやカフェにもなっていますよね。私自身もガチャガチャのグッズを持っていますし、そんな中で映画化!と聞いて「たべっ子どうぶつ」ワールドの広がり方にも驚きつつ、そこに出演させていただけるのも嬉しかったです。
グッズやカフェに派生するほどの人気を誇るたべっ子どうぶつはまさに“国民的おかし”ですが、お2人はおかしにまつわる思い出はありますか?
松田:おかし、好きです!親から「何かがんばったら駄菓子屋さん行こうね」と言われ、褒美として買ってもらった思い出があって、すごくワクワクして嬉しかった思い出があります。自分の中ではほぼ主食でした。「たべっ子どうぶつ」とにかく好きです(笑)!
髙石:小さい頃、駄菓子のコーラとかソーダのつぶつぶをお薬だと思って飲んでいた時期があったんですけど……えっ!私だけじゃないですよね?
松田:あのラムネみたいなちっちゃいの(笑)!?
髙石:えー!ありますよね?!つぶつぶの。あれは絶対みんな通っている道だなと思っていましたけど(笑)、おままごと的な感覚で食べていました。
ちなみにお2人は、小さい頃を振り返るとどのような子供でしたか?
松田:めっちゃシャイでした!サッカーをずっと習っていたのでスポーツは好きだったのですが静かな子で。学校では“くつならべ係”をしたり、廊下掃除をしたりとか、あまり人の目に触れないところが好きでしたね。
“くつならべ係”ですか……?
松田:あまりないと思うのですがくつならべ係をしていました(笑)。僕、靴を並べるのが得意なんですよ。めちゃめちゃきれいに並べられるんです。
髙石:松田さんは明るい方なのかなと思っていたので、幼少期は静かだったというのは意外でした。
松田:いつの間にか変わってしまいました。
髙石:私は松田さんとは真逆ですね。すごい元気はつらつで、走り回って放課後はもう追いかけっこして、秘密基地をさがして、屋根を上って怒られて……。
松田:すごい。やんちゃじゃないですか。
髙石:(笑)そんな子供でした。
そういったやんちゃなところは今も変わらずお持ちになっていますか?
髙石:持ってます(笑)!お恥ずかしいのであまり見せないようにしていますが(笑)、心には!
劇中では、松田さんはらいおんくん、髙石さんはぺがさすちゃんを演じました。お2人が演じたキャラクターについて教えてください。
松田:らいおんくんは無邪気なところもありながら、リーダーの自覚もしっかり持っているキャラクター。基本的にはポジティブで明るいけど、他の仲間たちと感覚が少しずれていることもあって、そういうところがらいおんくんの良さだと思いました。物語が進んでいくにつれて、環境や仲間の状況が変わり、段々らいおんくん自身の心にも変化が生まれます。そうしたらいおんくんの変化や成長も意識しながら、率直に自分の感じたままに演じました。
ちなみに松田さんは『ライオン・キング:ムファサ』でもライオンの役を演じていますね。
松田:そうですね、ライオンは「二度目まして」です。ライオンにご縁があるみたいで。僕は“トラジャ”(Travis Japanの略)なのでいつかトラも演じたいと思っています!
髙石さんは映画オリジナルキャラクターのぺがさすちゃんを演じています。
髙石:ぺがさすちゃんは架空の存在なのが面白いところ。そういう雲の上の存在であることで、周りからうらやましいと思われがち。正義感も強くて、しっかり者のお姉さん的存在です。一方で見た目はすごくかわいらしくて、色々な要素を持っているキャラクターなので、その瞬間ごとに彼女が感じていることに対して、素直に演じてみようと思いました。
お2人が演じたキャラクターとご自身の共通点はありますか。
松田:前向きな面は共通点なのですが、むしろらいおんくんから勉強になったことがたくさんありました。らいおんくんはただポジティブなだけではなく、意外と「言う時は言う」強さもあります。また、口が先走っちゃって、あとから考えているのもかわいらしいところだと思いました。
髙石:ぺがさすちゃんは「仲間を守りたい」という感情がとても強いのですが、そういう感覚は自分と近しいものがあると思います。家族や友達を守りたいという思いが一番ぺがさすちゃんに共感するポイントでした。
松田:ちなみに「殺めたい」とかはなかったですか?殺し屋の気持ちとか……。
髙石:「殺めたい」はないです。今言ったのは守りたい方で、真逆な言葉である気がしているんですけど……。
松田:「撃ちたい」とかも……?
髙石:ないですね。違う作品の話と間違えていませんか(笑)。
※髙石は「ベイビーわるきゅーれ」シリーズで殺し屋の役を演じた。
「たべっ子どうぶつ」たちも仲間を守るために戦います。チームワークを発揮する場面も見所の1つですが、お2人がチームワークのために大事にしていることは何ですか?
松田:僕はずっとサッカーを習っていたというのもあってチームで何かをするのが好き。誰かのフォローに入ったり、試合に勝つための戦術として必然的にみんなで1つの目的に向かっていくことが“かっこいい”と思っています。みんなでいた方が楽しいですからね。
でも、愛を持って伝えなければならないことはまっすぐ伝えて、我慢することは我慢して、というバランスが大事なのかな、と思っています。
髙石:撮影の現場がチームなので、「現場が明るかったら嬉しいな」と考えています。少しでも明るくするために自分に何かできることがあれば自分から働きかけますし、アクションがかかった瞬間に全員がお芝居をしっかりと見せられる現場が素敵だと思うので、そういう空間作りが大事なのかな、と思います。
らいおんくんはチームのリーダー。普段Travis Japanとしてグループ活動をしている松田さんですが、理想のリーダー像はありますか?
松田:あまりリーダー感のない人が好きです。らいおんくんのビジュみたいな、もふもふした感じ。具体的な例でいうと、Travis Japanのリーダーのちゃか(宮近海斗)もふわっとしていていい感じですよね。かわいいなと思う部分もたくさんあって、そういうほわほわした感じのリーダーがいいです。
ちなみにらいおんくんとぺがさすちゃんはアイドルグループの中でライバル関係にありますよね。お2人ならライバルが現れた時、どのように行動しますか?
松田:「お前なんか眼中にないのよ」みたいな感じですか?
髙石:(笑)!でもあまりライバルって感じたことがないかもしれないですね……?お芝居は人と人がいることで成立するもので、敵対すると成り立たないので。誰かに視線を向けるというよりは常に自分に対して「こんなこともできないのか」と考えて、自分に視線を向けている気がします。
だからライバルへの行動ってどうしたらいいんだろう。自分と違う人間は全員すごいし、違うものを持っている人に魅力を感じるので……。
ぺがさすちゃんもらいおんくんに対して敵対視せずスマートな対応をしていた印象があります。
髙石:ぺがさすちゃんは自分の弱さを自覚しているからこそらいおんくんに対しても大人な対応をします。そこにすごく人間味を感じるし彼女の美しい部分だと思います。
松田:髙石さんは周りからライバルだと思われるような人なのかも。軸がしっかりある人って「うらやましい!」とか「何か悔しい!」と思ってしまうところが自分にもあるし、 (髙石に向かって)ずるいな!と思います。
髙石:えー!そんな!
松田:ライバル……ライバル製造機です。ライバル製造機女優です(笑)。
髙石:こっちは何も思っていないのにですか?!
松田:はい。真面目な話をすると、髙石さんはスキルや見えない部分での努力も計り知れないんだろうなと。僕もリスペクトは持ちながらも「どこかでは負けないぞ」と思いました。らいおんくんも、ぺがさすちゃんに対してはきっとそう思っていると思います。
松田さんご自身はライバルが現れた時、どうしますか?
松田:ライバルが現れたら……ライバルだ!と思うだけです(笑)。自分にないものがお相手の武器でもあり、魅力を感じる部分でもあり、知らないことを学べるいいチャンスだな、と思います。だから、らいおんくんにはぺがさすちゃんと「戦え戦え!」って言いたいです。
髙石:逆に!いいですね。私ならそのままでいいって言うと思います。
松田:ほら!ライバル製造機(笑)!
髙石:ええ!なんでですか(笑)?!もう結局、1人1人の個性があってやり合っているわけですし、そういうライバル関係も素敵だなと思うので、そのままでいいと思います。
松田:うん!たしかにそうですね。