武田一義による漫画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」がアニメーション映画化。2025年12月5日(金)に劇場公開される。
漫画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」は、2016年から2021年まで「ヤングアニマル」にて連載された作品。1万人の日本兵が送り込まれ、生き残ったのはたった34人といわれる太平洋戦争の激戦地ペリリュー島での戦いを題材にしている。
すでに日本の戦局が悪化していた中で始まったペリリュー島の戦いは、自決覚悟で玉砕する“バンザイ突撃”をやめ、持久戦で時間稼ぎをするよう方針転換がなされた最初の戦いだ。戦いを続ける意義が失われた中でも戦いを継続し、日本兵だけでなく米海兵隊の死傷率も史上最高を記録。その犠牲の多さと過酷さからほとんど語られることのない「忘れられた戦い」とも言われていた。
漫画「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」では、画家志望の兵士、田丸を主人公に据え、太平洋戦争末期の地獄のような戦場において若者たちが何を思い、いかにして生きていたのかを親しみやすい三頭身のキャラクターを通して表現している。チャーミングなキャラクター描写の一方で、激しい戦闘や凄惨な場面も登場するなど、戦争の中でもがく若者たちの生き様を正面から描き出しているのも特徴だ。2017年には日本漫画家協会賞優優秀賞を受賞した。
そして、2025年に終戦80年を迎えるにあたり、「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」をアニメーション映画化。南国の美しい島で相次ぐ戦闘に加え、飢えや渇き、伝染病が蔓延するなか、若い兵士たちが次々と命を落としてゆく。そんな壮絶な世界を生き抜こうとした、主人公の田丸と相棒の吉敷の友情物語が描かれる。
作中では、田丸と吉敷の固い絆が垣間⾒えるシーンや、アメリカ軍からの激しい銃撃を受ける⽇本軍、そして美しき楽園が激戦の末、まるで地獄のような⾎の海と化した様⼦まで、見どころがぎゅっと詰まっている。仲間たちとの人情劇、リアリティ満載の過酷な戦場など、観る者の感情を揺さぶる作品に仕上がった。
⼼優しい漫画家志望の主⼈公・⽥丸均(たまる ひとし)の声を、映画『ブルーピリオド』『ババンババンバンバンパイア』『ミーツ・ザ・ワールド』など、話題作への出演が続く板垣李光人が担当する。また、田丸の頼れる相棒・吉敷佳助(よしき けいすけ)役は、『ラストマイル』にも出演していた中村倫也が声優を担当する。
主演の板垣はアフレコ前に物語の舞台となったパラオ・ペリリュー島を実際に訪れ、いまだに戦争の痕跡が残っている場所をまわっていったという。板垣はペリリュー島について、「そこには教科書やテレビ、ネットからは感じることのできない、まさしくここで確かに苛烈な戦いが繰り広げられており、たくさんの⽅々が様々な想いと共に命を落とされたのだと、強く実感しました。その中には、⾃分とも歳が近い⼆⼗代の若者たちも沢⼭いたはずです。彼らの⻘春や⼈⽣に想いを馳せると、とても他⼈事とは思えません。80年前も、2025年の今も、そしてこれからも」とコメントを寄せている。
主人公・⽥丸均…板垣李光⼈
漫画家志望の、21歳の日本兵士。その才を買われ、亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という特別な仕事を任される。仲間の死を記録するにあたり、時に嘘を交えて美談に仕⽴てていた。
吉敷佳助…中村倫也
田丸の同期ながら、頼れる上等兵。田丸と励まし合い、苦悩を分かち合いながら特別な絆を育む。