特別展「志村ふくみ100歳記念—《秋霞》から《野の果て》まで—」が、東京・虎ノ門の大倉集古館にて、2024年11月21日(木)から2025年1月19日(日)まで開催される。
紬織りを芸術へと高め、人間国宝にも認定されている染織家、志村ふくみ。植物染料による染めと、節のある絹糸「紬糸」による紬織りに出会った志村は、自然にある色を抽出し、糸を染め織るという、人と自然が共存する営みに携わってきた。
特別展「志村ふくみ100歳記念—《秋霞》から《野の果て》まで—」は、2024年に100歳を迎えた志村の回顧展。志村が染織の道を歩む契機となった《秋霞》から、100歳を目前にして若き日を回想した《野の果てII》まで、約70年にわたる創作の軌跡を紹介する。
1924年に生まれた志村は、かつて民藝運動に携わった実母・小野豊の影響で染織家を志した。こうした背景のもと、志村は、民藝運動を先導した柳宗悦などを、工芸の道の師として仰ぐようになった。本展では、小野豊が手がけた《吉隠(よなばり)》や、志村の染織家としての原点となった《秋霞》などを目にすることができる。
志村は、紫式部が著した王朝物語『源氏物語』を題材とした作品を数多く手がけている。これらの作品には、繊細な色彩と文様に、物語のイメージが重ねあわされている。たとえば、紫色のぼかしに茜色をとり合わせた《若紫》は、主人公・光源氏の寵愛を受けた女君のひとり、紫の上の幼い日々を彷彿とさせるものとなっている。会場では、和歌や古典文学への関心を窺うことができる志村の作品を紹介する。
志村は近年、小説家・石牟礼道子(いしむれ みちこ)の原作による新作能『沖宮(おきみや)』の衣裳制作に携わった。島原の乱ののちを舞台とする『沖宮』は、天草四郎の霊が、旱ばつに苦しむ村のために、生贄となる少女あやを海底へと導く物語であり、2018年と2021年に上演されている。本展では、上演時には着用されなかった、主人公あやの舞衣《紅扇》や四郎の小袖《Francesco》を初公開する。
特別展「志村ふくみ100歳記念—《秋霞》から《野の果て》まで—」
会期:2024年11月21日(木)~2025年1月19日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 11月21日(木)~12月15日(日) / 後期 12月17日(火)~1月19日(日)]
会場:大倉集古館
住所:東京都港区虎ノ門2-10-3(オークラ東京前)
開館時間:10:00~17:00(金曜日は19:00閉館)
※入場はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(休日の場合は翌火曜日)、12月29日(日)~31日(火)
観覧料:一般 1,500円、高校・大学生 1,000円、中学生以下 無料
※会期中のリピーターは500円引き
※20名以上の団体は500円引き
※障がい者手帳、被爆者手帳の提示者および同伴者1名は無料
※着物(和装)で来館者は300円引き(割引の併用不可)
【問い合わせ先】
大倉集古館
TEL:03-5575-5711