特別展「芭蕉布─人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事─」が、東京・虎ノ門の大倉集古館にて、2022年6月7日(火)から7月31日(日)まで開催される。

芭蕉布の世界を紹介

芭蕉布(ばしょうふ)とは、亜熱帯を中心に分布する植物・芭蕉からとれる天然繊維から作られる、沖縄を代表する織物だ。芭蕉布の伝統技法は第二次世界大戦後に消滅しかけたが、これを復興させ現代に継承したのが平良敏子(たいら としこ)であり、2000年にはその功績により人間国宝に認定されている。

平良は、本島北部の小さな村・喜如嘉(キジョカ)に工房を設け、友部(ドゥシビー)こと盟友たちとともに芭蕉布の手仕事を紡いできた。喜如嘉の芭蕉布は伝統的な作り方を守る一方、意匠においては豊かな展開を遂げている。色彩は幅広く、また絣柄もシンプルで愛らしい柄から複雑な経緯絣の柄、洗練された瀟洒なデザインまで、バリエーションに富んでいる。

特別展「芭蕉布─人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事─」では、平良敏子と彼女の友部たちが手がけてきた、戦後から現在に至る約70点の作品を一堂に公開。透けるような風合い、沖縄特有の力強い色彩、そして多彩な絣柄が織りなす芭蕉布の世界を紹介する。

「色鮮やかな芭蕉布 喜如嘉の挑戦」

2章構成のうち第1章では、色鮮やかな芭蕉布を紹介。琉球王朝時代には、王族の衣装に赤や黄色の芭蕉布が使用されていた。もともと喜如嘉の芭蕉布は生成りや藍色、茶色を基調としていたが、昭和後期からは沖縄で採れる天然染料を中心に、色彩に富んだ煮綛芭蕉布が織られるようになった。会場では、鮮やかな色彩に、絽織や花織、そして失われつつある地機織りなどの技術も取り入れた着物や裂地を展示する。

「絣の世界」

一方で第2章では、喜如嘉の芭蕉布、そして平良敏子ならではの絣の世界を展観。明治後期に喜如嘉で絣が織られるようになって以来受け継がれてきた定番柄を、大胆に発展させたのが平良であった。本章では、伝統的な柄を組み合わせ、あるいは身近な虫や植物をモチーフに考案した絣柄なども目にすることができる。

展覧会概要

特別展「芭蕉布─人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事─」
会期：2022年6月7日(火)〜7月31日(日) 会期中に一部展示替えあり
［前期 6月7日(火)〜7月3日(日) / 後期 7月5日(火)〜7月31日(日)］
会場：大倉集古館 1F・2F展示室、B1F(DVD上映)
住所：東京都港区虎ノ門2-10-3(The Okura Tokyo前)
開館時間：10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休肝日：月曜日(祝休日の場合は翌火曜日)
入館料：一般 1,300円、大学・高校生 1,000円、中学生以下 無料
※会期中、着物での来館者は200円引き(割引併用不可)
※同会期中のリピーターは200円引き(前回来館時のチケットを持参
※20名以上の団体は100円引き
※障がい者手帳、被爆者手帳の提示者および同伴者1名は無料

【問い合わせ先】
大倉集古館
TEL：03-5575-5711 (代表)