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花江夏樹×飯田里穂にインタビュー『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』伏線は自然な会話劇に潜む

2021年春に放送され、大きな反響を巻き起こしたTVアニメ『オッドタクシー』。ほのぼのとした動物のキャラクターとは裏腹に、物語は様々な思惑が複雑に絡み合うミステリー・サスペンス。緻密な伏線を見事に回収した最終回は、観るものを驚愕させた。レビューサイト「フィルマークス(Filmarks)」では2021年アニメ満足度ランキングで堂々ランク入りを果たしている。

飯田里穂, 花江夏樹 インタビュー|写真1

そんな話題作が『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』としてスクリーンへ。映画では、アニメのラストシーンのその後、“本当の結末”も描かれるという。2022年4月1日(金)の公開に際して、主人公であるセイウチのタクシー運転手 小戸川を演じる花江夏樹と、小戸川のかかりつけである剛力医院に努めるアルパカの看護師 白川を演じた飯田里穂にインタビューを敢行した。

「オッドタクシー」は“一気見したくなる作品”

左) 小戸川(CV.花江夏樹)、右) 白川(CV.飯田里穂)
左) 小戸川(CV.花江夏樹)、右) 白川(CV.飯田里穂)

――『オッドタクシー』で初共演となった花江さんと飯田さん。お互いにどのような第一印象だったのでしょうか?

花江:イメージでは、なんとなく煌びやかな方なのかなと思っていたのですが、お会いしてみて、想像していたよりも親しみやすい方で安心しました(笑)。

飯田:声優をしていると、作品を通しての印象の方が強くなってしまうのですが、人気作品の主人公ばかり演じられてきた花江さんだから、みんなを引っ張っていくような雰囲気の方なのだと思っていました。

でも、実際は全く違い、にこやかで優しいオーラを纏っていらっしゃって。「おはようございます」と挨拶すれば神様のような笑顔で挨拶してくだり、収録に行く際は、仕事を一緒にさせていただくというよりも、花江さんに癒されにいくという感じでした(笑)。

花江:そんなイメージだったとは(笑)。

飯田:残念ながら、映画の収録中は1度も一緒になることがなかったんですよね。もう少しお話すれば、違った一面も拝見できたのかもしれません。今はまだ神様のような存在です(笑)。

白川(CV.飯田里穂)
白川(CV.飯田里穂)

――『オッドタクシー』は、作品のテイストが非常にユニークです。TVアニメ版と『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』の収録を通して、この物語にどのような印象を受けられていましたか?

飯田:アニメだけどアニメじゃないような。可愛い動物の絵からは想像できない本格ミステリー要素たっぷりの作品の世界には、どんどん引き込まれていきました。完成後に作品を見た時は、一気見してしまって(笑)。

収録中は分からないことが多すぎて、謎解きしながらレコーディングしている状態でした。アニメの台本を読んでいるというよりは、小説を読んでいるような気分。実は収録中、結末をすでに知っている方もいらっしゃったのですが、私は知らなかったので、この先どうなっていくのだろうと思いながら進めていました。

花江:僕も収録中は分からない部分があり、「本当に面白いのか?」と疑っていたところがありました。でも完成作品を見て、みなさんに早く見てほしい!と気持ちは一転。自分が出演した作品は最初から最後まで見るようにしているのですが、完成後3日間ぐらいかけてみようかなあ、なんて思っていたけれど、面白さのあまり1日で全話見きってしまったんです。

一方で、一気見したくなる作品だからこそ、週一のTVアニメ放映は惜しいなとも思ったりして(笑)。緻密な伏線をつなげていく面白さが上手く伝わらなのではないかと。でも最終話がオンエアされて、後からじわじわと口コミで広まりだしたのを見て、『オッドタクシー』の面白さが伝わってきたのかと嬉しかったですね。

ファンタジーな絵とは裏腹、“リアルで自然な会話劇”を魅力に

左) 小戸川(CV.花江夏樹)、右) ドブ(CV.浜田賢二)
左) 小戸川(CV.花江夏樹)、右) ドブ(CV.浜田賢二)

――『オッドタクシー』ならではの魅力を教えてください。

飯田:絵はファンタジーなのに、会話がリアルというミスマッチなところが、『オッドタクシー』の魅力だと思います。言葉の遊び方というか、会話劇がとても特徴的。キャラクター同士の掛け合いが、本当にナチュラルなんです。

その自然な掛け合いが、人間ではなく動物のキャラクターに合わせられたとき、どんな色になるのか?と思っていました。

花江:声優としてある程度経験を積むと、自分なりの色を付けたくなるものです。特に今回は動物のキャラクターだったから尚のこと色が出そうになる。TVアニメ・映画を通して収録は(声を先に収録して絵をあてる)プレスコだったのですが、それが『オッドタクシー』の魅力である自然な会話劇に繋がったのかなと思います。

――日本のアニメでは、絵に声をあてるアフレコでの収録も多いですよね。アフレコとプレスコの違いは、どのようなところにあるのでしょうか。

花江:アフレコの時は、絵に自分の声を合わせていきます。心の中で「こんな風に喋りたい」という思いがあったとしても、できないことがあります。

例えば、感情的になるシーンで、たっぷりと間をとりたくても、自分が思っているよりも速く場面が進んでいき、言葉のペースを上げることがあります。一方で、プレスコだと後で絵を直してくださるので、僕たち声優としてはやりやすい。“自分の間”で気持ちよくできるというのはありますね。

右) 大門兄弟(CV.ミキの昴生・亜生)
右) 大門兄弟(CV.ミキの昴生・亜生)

――“自分の間”でできるとなると、確かに自然な会話が生まれやすそうですね。

花江:台本に句点が入っていたとして、そこで息継ぎを絶対にするかというと、実際に発する言葉は必ずしもそうではない。句点は、本来文章を読みやすくするために入れているものですし、人間が実際に口にするとき、そこにブレスが絶対に必要なわけではないと思うんです。プレスコだと息継ぎのタイミングに絵が合わせてくれる。だから、自分が思うままの自然な喋り方になりやすいのだと思います。

僕は、『オッドタクシー』の中で、芸人さんたちの掛け合いが本当に素晴らしいと思いました。声優には出しづらいような声の出し方、声優ならあえてその話し方はしないという芝居をされていたのですが、そこから生まれるのびのびとした会話劇は、プレスコだったからできたこと。芸人さんたちの掛け合いのリズムの良さが出ていました。

飯田:そうですよね。芸人さんたちのやりとりは聞いていて、とても心地よかったです。

花江さんのおっしゃる通りで、プレスコだと“自分の間”でセリフを進められるのだと思います。でも、逆に自由にできるからこその難しさもあるんです。自分の中では気持ちいいと思って話していても、聞いている人からすると、もう少し間を詰めた方がいいことがあったり、少し違和感を覚えたりする。客観的に見たときどのように聞こえているかは、気を付けなければいけませんね。

――花江さんは、木下監督から“自然な低音ボイス”をお願いされていたそうですね。やはり『オッドタクシー』の会話劇にはその自然さが必要だったのかもしれません。

花江:監督からは「低音は低音だけど、無理のない自然な低い声で」とお願いされました。最初は“セイウチのおじさん”という見た目で、経験上やったことがないキャラクターだと思っていましたから、どうしようかと。かなり低い声を想定していました。

小戸川は、一見すると人相の悪い、不愛想な“セイウチのおじさん”です。感情をあまり表に出さないし、人と積極的に喋るようなタイプでもない。そのイメージに僕がひっぱられていたのでしょうね。知れば知るほど、彼は“ピュアな人”です。友達のことを大切に思っていたり、自分なりの考えに芯があったり、そんな小戸川が僕は好きでした。

――実際に小戸川を演じられて、難しいと感じたところはありますか?

花江:小戸川の感情の動きを、ほんの少しの声の強弱で変えていくのは難しかったです。誰かと会話しているようで、会話していないような喋り方。一方で、意外とツッコミのシーンも多かったりして(笑)。今回の収録は1人きりのことが多かったので、小戸川の独り言っぽい喋り方をする環境としてはよかったのかなと思います。

白川(CV.飯田里穂)
白川(CV.飯田里穂)

――飯田さんは、白川を演じる上で難しいと感じられていたところはありますか。

飯田:終始難しかったです(笑)。白川さんは飾らない女性だからこそ、より一層“色を付けない芝居”が求められました。収録前に自分の中で膨らませていたイメージを監督に伝えたところ、かなり違っていて、「隣の人と会話している感じのナチュラルさでお願いします」との提案だったのですが、それがとても難しく…。

先ほどの話にもありましたけど、声優としてやっぱりどこか色を付けたい部分がありました。だからそれを“抜く”という作業をして、アクのない会話をしようと。トライさせてもらう中で、木下監督にひとつひとつ確認してもらい、相談を繰り返しながら、収録させてもらいました。

そんな不安もありながらの収録だったので、完成したアニメがとても面白くて安心しました。実際に現場で花江さんと掛け合うはなかったのですが、私は特に小戸川さんとの会話がとても好きです。

中央) ヤノ(CV.METEOR) 右) 関口(CV.堀井茶渡)
中央) ヤノ(CV.METEOR) 右) 関口(CV.堀井茶渡)

――完成したアニメでは本当に“隣の人と会話している”ナチュラルさがありました。小戸川と白川のアニメでのやりとりはクスっと笑えるシーンも多かったですが、その他のキャラクター同士の掛け合いもユーモアに溢れていました。

花江:韻を踏みながらラップで話すヤノは新しい発想すぎて、最初はよく分からなかったですけどね(笑)。

――ラップで会話するキャラクターなんて見たことないですもんね(笑)。

花江:聞きなじみがなさ過ぎて、初めて聞いたときは会話の内容があまり入ってこなかったんですよ (笑)。でもいつの間にかラップでの会話が普通になってきて、不思議な感じでした。

飯田:私もラップは印象的でした。台本を見たときに「これはどういう風にできあがるのかな?」と思っていましたし、正直言うと「大丈夫なのかな、このアニメ…」とちょっと不安に思うところもありました (笑)。

完成したのを見てびっくりしました。TVアニメ版の中で、興奮したヤノがラップで喋らなくなるところがあるのですが、「そんな感情表現もあるのか!」と感心しました。

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