SEKAI NO OWARIのボーカルとして知られるFukaseは、音楽だけでなく、アニメーション、ファッション、アートと幅広いジャンルで活躍するクリエイティブな人物だ。また2021年には映画『キャラクター』で自身初となる俳優デビューを実現。初めてとは思えない狂気的な演技の舞台裏には、アーティストと俳優の<共通点>を見出したFukaseならではのこだわりの役作りもあったという。
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本記事では、そんな類まれなる才能で、人々を魅了し続けるFukaseにインタビューを実施。いかなる時もクリエイターであろうとする彼の素顔や制作の原点、そして愛するファッションについても、たっぷりと話を伺った。
■音楽をはじめ、あらゆる制作活動に励まれているFukaseさんですが、子供時代からそもそも“何かを作る”ことはお好きでしたか?
全くですね。図工の時間も特に好きではなかったですし。ただ作文だけは昔から得意でした。文章が上手いというよりは、パッと内容を閃く感じ。当時は国語の授業中に、僕がサーってある程度書き終えた過程で、隣に座ってる子の進捗を覗き見するのが好きでして(笑)「僕はこの6年間…」なんていう、出だしで止まった友達の作文を見ると、ハッ!なんて思っていました(笑)
■(笑)それでは、制作の面白さに気づいた原点は何でしょう?
それも実は国語の時間。僕はちゃんと高校に行っていないんですけど、ある時誰かが家に俳句の宿題を届けてくれて、よく意味も分からないまま作成した俳句に、自分の名前を書いて提出したんですよ。そうしたらそれが実はコンテスト形式だったようで、ペンネームで書くことが前提なのに、僕だけ本名でしかも2位だった。
その後、僕は学校に行かないまま退学することになるのですが、退学する最後の日に担任でもない国語の先生が僕のもとにきてくれて。「深瀬は文章がきっと得意だから、それを忘れないで」って伝えてくれたんです。
それがものすごく嬉しかったし、今でもずっと記憶に残っている。僕の音楽活動における歌詞制作は、そこにルーツがあったんじゃないかなと感じています。
■Fukaseさんがファッションに目覚めた時期もその頃だったとか。
はい。僕は高校を退学した後に、アメリカンスクールに通うことになるのですが、そこの校長先生が、半ば強制的に僕の友人を退学にさせた出来事がありました。もう僕はそれに対してどうしても抵抗したくて、校長先生に対する<抗議文>を英語で入れたパーカーを制作して、学校に着ていったんです。もちろん、放送禁止用語なんて書いたらマズいので、その部分だけ上手くぼやかしたりなんかして(笑)そういった自己主張を<表現>するツールとして、当時ファッションの面白さに気づいていったのだと思います。
ちなみにその後、僕は校長先生にパーカーを見られて、当然のごとく「どういう意味だ!」と問われるのですが。「別に?逆にどう思います?」なんて英語ではぐらかしながら、見事退学を免れたのでした(笑)
■では大人になった現在、お気に入りのブランドは何ですか?
ミュージシャンとしては、もちろんグッチ(GUCCI)。舞台衣装を含め、非常にお世話になっていますし、バンドの世界観にも、やはりグッチが一番が合うのだと思います。
一方、私生活でいうと、ニードルズ(NEEDLES)のトラックパンツを履くことがほとんどですね。95%のボトムスはニードルズというくらい大好き。僕は基本的にクリエイターとして仕事をしているので、“自分が考えていることを邪魔しない”ユニフォーム的な意味を持った服という意味でも、ニードルズが凄くマッチするんです。もちろん僕の年齢に合った洗練されたデザインも、履き心地も気に入っています。
■近年では、Fukaseさんと有名ブランドとのコラボレーションも複数実現していますよね。
ブランドさんとのコラボレーションは、面白いですね。特に僕が手掛けるアニメーション「バッドムード(BAD MOOD)」のコラボレーションは、海外プロジェクトの会社の社長と仕事を分担している感じなので、彼に甘えながら大好きなファッションもできて本当に楽しいです(笑)
■本当に多彩なジャンルで活躍されていらっしゃいますが、一連の制作活動のインスピレーションは普段どのように得ているのでしょう?
一番のインスピレーションは、“日常”にあると思います。すでに作られたものをインプットするというより、自分の目にリアルに映った“生のモノ”に刺激されるという感覚。
それは、ふとした時に見た小学生の表情でもあれば、スケジュールに忙殺されすぎてギスギスしてしまったバンドメンバーの空気、顔、直接発した言葉であったりもする。そういったストレートな実体験のものが、僕にとって制作活動の刺激に繋がっているのだと感じています。
■2021年でデビュー10周年を迎えますが、日ごろ制作活動のモチベーションとなるものは一体なんでしょう?
僕はいわゆるアーティスト気質ではないので、<自分が作りたいものを制作して自己表現>というよりは、人が喜ぶものを制作して、その姿を見ながら“酒がうまい~!”とできるのが、大きなモチベーションとなっています。
同時にこの仕事は、モチベーションが全てであり、僕がこうして10年経った今でも“もっと挑戦したい”と思える環境に身を置けることには、本当に恵まれていること。ただ最近は、肝臓の数値が悪い診断を受けてしまって、お酒は程々にしようかなと思っていたところ…。もしおいしいお酒が飲めなくなって、良い作品を生み出せなくなってしまったら、僕にとって本末転倒なので(笑)
■Fukaseさんが手がけるクリエーション全体を通して、伝えたいメッセージはありますか?
メッセージが一貫している訳ではないのですが、基本的に僕が伝えたいことは、<自分で感じ取ること>を大切にしてほしいなと思っています。つまり僕が伝えることが一番なのではなく、僕の作品だったり、僕が発した言葉に対して、どのように感じたかという<個人の感覚>そのもの。人生は自分で導いていくものだし、自分で発見したものが人生哲学になっていくと思うので、ある種決められた誰かの哲学を暗記する必要なんて全くない。それが僕が伝えたい一番のメッセージです。
<衣装クレジット>
フーディ 135,300円/パンツ 225,500円/ネックレス 参考商品/スニーカー 150,700円
いずれも全てバレンシアガ(BALENCIAGA)
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