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ファンタジスタ歌麿呂×写真家・蜷川実花

信頼を生みだした、それぞれの仕事に対する姿勢

司会:実際にお仕事をご一緒された時、お互いに抱かれた印象はいかがでしたか?お互い相性が良かったんだろうなっていう風には思うんですが。

歌磨呂:僕はもちろん蜷川実花さんのこと知ってるし、作品もずっと見ていたので、作品が素晴らしいのはもちろん分かっているんですが、やっぱり現場、ミュージックビデオの撮影現場に入った時に、実花さんの空気の作り方みたいな、この本にも書いてあるんですけど、締める所はバシっと締めるんだけど、寛容なところは寛容で。現場にいる大勢のスタッフを気持ちよく「動かしてる」って言い方は変ですけど、リードしていく所に感動して。やっぱり人によっては現場でずっとピリピリしてる人もいるし。

でも実花さんの華やかな世界観ってやっぱり現場にもあって、僕も自分で物作る時に色々考えるんですけど、なんか全部繋がってるんだな、と。僕もこういう風に仕事したいなっていう風に思って。実花さんの現場の時に、こういう時どうしたら良いですか?みたいな話をしたり(笑)。

蜷川:こうするんだよ、と。

歌磨呂:実花さんにアドバイスをもらって、こういう時はこうしなさい、はい!みたいな。大学の先輩なんで。

蜷川:やってる事は違うんですけど、これだけ自分のカラーが濃くて、それを維持しながら色んな仕事していくっていうやり方が多少似てるところがあって。そういう風にやってる人って少ないので、多少私がしてあげられるアドバイスもあるかなと思って、言える時は、こうだよとかこうしたらいいんじゃない?とか今こうでしょ?とかアドバイスさせてもらうことがあります。

歌磨呂:すごく実花さんは協力してくれる。嬉しいっす。ありがとうございます。

蜷川:(笑)よかった!なんか放っとけないんだもん。だからこんなメンツが集まると思うんですけど、なんかしてあげなくちゃいけないって気にさせるのは才能だなと思います。

歌磨呂:ツイッターとかでよく愚痴ってるからかな?もうやだ、みたいな(笑)。

蜷川:だいたい愚痴ってる。いつも。でも、仕事を頼む方としては、私が一緒にやる時は、歌ちゃんにこうやって欲しいっていう風に頼む形が多いんですけど、絶対120%やりきってくれるっていう信頼感があるので、頼んだら頼みっぱなしというか、手を抜いてくるっていうのは絶対に思いつかない。

歌磨呂:ありがとうございます!

蜷川:だからもし最終的に良くなかったとしても、でも歌ちゃん120%やってくれたって思える安心感があるんですよ。良くなかったことはないんですけど(笑)。一緒に仕事する時に、全力で絶対にやってくれるってこっちが信じきれるっていうのはすごく重要なことかなと思います。

歌磨呂:そうですね。自分的にはそこしかないというか、やっぱりこれは最初からできませんっていうのは絶対に言いたくなくて。嫌われたくないんですよね(笑)。実花さんがせっかく声掛けてくれたのに、絶対裏切れないっていうか。絶対喜ばせるっていう気持ちはあるので。だってそうだよね、AMIAYAちゃんの時もロゴが僕は納得がいかなくて、なんかすごい回数やり直して(笑)。

蜷川:向こう側も含めて私も、「あ、良いじゃん!」って言ってるのに(笑)。1人でひたすらひたすらやり直してて。確かにどんどん良くなっていくんですよ。でももう全然OKだったんでしょ?あれ、別に誰に何を言われた訳じゃなくて、歌ちゃんが1人で「もっと良いのが出来るはずだ」って。

クリエイターとして、曲げられないこと

【対談】ファンタジスタ歌麿呂×蜷川実花が語る、一流としてのクリエイションへの向き合い方 | 写真

司会:クリエイティブにかける情熱は生半可じゃないっていう部分はすごくあるんですね。

歌磨呂:なんだろう。情熱っていうか、意地じゃないですかね?なんか絶対負けねーみたいな、自分に対して(笑)。

司会:頭の中にこうあるべきだ!っていう理想像みたいなのがあって、そこに近づいて行く感じなのか、それとも作ってる最中にもっとこうやりたい!っていう思いが生まれてくるのか、そのあたりはどうですか?

歌磨呂:まぁ80%くらいは多分イメージできてるんですけど、そこから先は残りの1週間とかで、僕の中で魔法みたいな部分だと思ってるんですけど、みんなの力が合わさった事で発見できたものをいかに見抜くかみたいな所で、最後グッと上げてくっていうか。そこで結構変えられない質感になっていくっていうのが自分の中であって、だから寝れなくなっちゃう(笑)

蜷川:でもなんか、最後の本当にちょっとしたことだとしても、その何ミリかにこだわれるかで、最終的にプロかそうじゃないかが決まると思うの。本当にちょっとしたことなんですよね。

例えば写真だったら、ほんの一歩前に出て撮れるかとか、フレームの中で言ったら1ミリ右か左か、みたいなことって、実際すごく大きくて。ある程度のなんとなく良い所までは行けたり、なんとなく出来ちゃったり、特に写真だとなんか撮れちゃった1枚とかはあると思う。でもそれを、コンスタントに仕事で毎回返して行けるかとか、最後の1ミリ2ミリにどれだけこだわれるかって、実はすごく大きくて。歌ちゃん見てると、やっぱそこがすごくしつこい、本当に(笑)。

歌磨呂:確かに。この雑誌で、実花さんと、あとトイズファクトリーっていう会社の社長の稲葉さんと、『ヘルタースケルター』の話をしてて、あの交差点のシーンとか菜の花のシーンとかがすごく印象的だったって稲葉さんは言っていて。その話を聞くと、実花さんが「絶対これはこうじゃなきゃダメだ!」ってこだわった所だったりして、そこには実花さんの色んな想いが入ってるんですよね。それって絶対作品に乗るっていうか、怨念って言ったら怖いけど(笑)。想いが入っていくから、やっぱりそれはそういう物として人に伝わるんだなっていうことを、対談でも僕話しましたよね。

だから僕も、例えば初音ミクのミュージックビデオ作った時も、初音ミクがどうやって生まれて、どんなふうにして盛り上がって行ったかっていう所に、当時ニコニコ動画に感動してたんで、やっぱその想いをぶつけると見る人はそこを受け取ってくれる。それって意外とシンプルだなっていうことを、今回雑誌を作る中で色んな人の話を聞いて感じられたのでよかったですね。

蜷川:やっぱり、写真撮ってても映像でも、超可愛い!って思って撮っている所は、超可愛いって伝わるんだよね。この仕草にキュンとくるって思ってると、絶対みんなそこに引っかかってくれてて、意外とシンプル。小手先の事じゃなくて、どれだけ作り手が感じられたかっていうのは、思っているより伝わって行く。

歌磨呂:そう!そうなんですよね、本当に。

あと、好きって思ってやってることってすごく伝わる。だから僕も、仕事でちゃんと意見言わない人とか怒っちゃうんですけど。「どう思う?」って聞いた時に、「良いですね」とかしか言わない人、多いんですよ。あんまり自分の意見言っても全てが通る訳じゃないから、「なんか良いですね」って言っておけばいい、みたいな。そういうのが嫌で、僕はみんなで作ってるから、そこで自分が何かを言った所で変わらなかったとしても、何かそのプロジェクトに対して愛みたいなものを持って欲しいって思うんですけど。だから「良いって何が良いの?」みたいな。

そうやって掘ってくと意外とグルーヴ感というか、全体の現場感みたいなものが盛り上がったりして、それを僕はなんとなくやってたんだけど、実花さんの現場を見て、それがすごくスムーズにできてる感じがあって「すげー!!!」みたいな。すごいんですよ、実花さんの現場って。すごく良い空気が流れてて。

蜷川:私は私の現場しか知らないけど、割とこのまま大きくなっていくんですよね。もちろん一生懸命やってるし、締め切り守ってやってるんだけど、“大変だから偉い”みたいなのが嫌いで、楽しく良いのができるのが一番良いじゃんって思っているのと、関わった全員が幸せと思える現場で、しかも見る人達も喜んでくれて、頼んでくれた人も喜んでくれる所を目指したいって思っている。写ってくれた人達がみんな「楽しかった」って必ず言ってくれるんです。それは、「こういう技でやってます」とかじゃないんですよね。多分、あたしが楽しいからなんです(笑)。

歌磨呂:そう!なんか実花さんが一番良い空気出してるし、みんなもその空気に乗って。なんか丸い感じ?全体が球体のような雰囲気というか。怠そうな場所がないっていうか。例えばスタッフにやらされてる感みたいな空気って、結構出たりするんですけど、やっぱり撮影現場って辛いじゃないですか?みんな眠いし。でも、そういう空気がないですよね。

蜷川:なんだろうね(笑)。

歌磨呂:なんかあれは、男の子には作れない世界観なんだなとも思いますけど。

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