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【歴史】40年代のファッション - ディオールのニュールック

30年代後半から40年代にかけて起こる大戦。その中で大きな動きが起こる。ニュールックとアメリカ独自のファッションだ。

ディオールのニュールック

ディオール 1947年春夏オートクチュールコレクション
© Associations Willy Maywald ADAGP, 2020
ディオール 1947年春夏オートクチュールコレクション
© Associations Willy Maywald ADAGP, 2020

1947年春夏コレクションでクリスチャン・ディオールが独立後初めてのコレクションとして発表した新しいシルエットは、世界的なセンセーションを巻き起こした。「ニュールック」だ。

ポイントはしたゆったりなだらかな肩に細く絞ったウエスト、長くてフルなフレアースカートが特徴。これはその型から数字の「8」を当てはめたライン「8ライン」とも呼ばれている。戦後、46年までのボールドルックと比較するとエレガントな女らしさを強調した平和のシンボルと言われた。この時代スキャパレリ、バルマンも8ラインと同様のウエストを細く絞ったラインを発表してトレンドとなった。

ニュールックは新しくはない?

ニュールックは47年という戦後のポイントを考慮すると「新しい」ルックといえたのだが、歴史的に見れば、”リバイバル”。それは16世紀以降、西洋の女性服の基本型の現代的アレンジなのだ。古い時代に戻っているようだが、時代に受け入れられた。それは、戦時中、40年半ばあたりまでファッションを楽しむことができる状況ではなかったから。中心となるのは、女性らしさを抑制したストイックなスタイル。戦後解放され、時代は女性らしさを強調するスタイルを求めていた。

ディオールはこれに答えるかたちで「ニュールック」を発表した。「平和のシンボル」と言われる由縁だ。

ただし、ディオールのニュールックが過去のスタイルと全く同じかと言えば、そうでは無い。コルセットクリノリンの時代は装飾がふんだんに施されていたのに対して、ディオールのファッションは装飾を注ぎ落としたシンプルなデザイン。また、テーラードの技術は40年代のテクニックが使用されていた。

オーガニックモダニズム

ニュールックの有機的な曲線の表現は「オーガニックモダニズム」と表現された。これはそれまでの直線的なフォルムとは異なるもので、ファッションのみならず、40年代後半から50年代にかけて、インテリアなどの工芸品、芸術作品などさまざま分野でも見られた特徴だった。

ニュールックの後には…

1948年以降、基本は8ラインが続くことになるが、ディオールは「ジグザグライン」「ウイングルック」「バーティカルライン」「オブリークライン」と8ラインに少しずつ変化をだしていく。変化が出てきたのは50年秋冬バレンシアガのコレクションあたりから。

なお、オートクチュールの世界ではパトロン(パトロン:芸術家らの活動を支援する資産家)の支援を受けて、ディオール等のデザイナーはジャーナリズムの脚光を浴び、成功を収めていく。さらには、50年代頃までにヨーロッパの経済状態もようやく安定化。オートクチュールも独自性と主体性を回復しだしてきて、オートクチュールは一時的に復活した。

アメリカンスタイル

30年代後半から40年代にかけての第二次世界大戦を経験し、焼け野原とならなかったアメリカ。世界の中心が明確にアメリカへと変わった。

郊外に一軒家、自動車、家具、テレビ、家族(父は仕事に集中、母は主婦として家事に集中)、そんなイメージを作り出すテレビ番組。このようなライフスタイルを中心に、アメリカの大衆消費社会が繁栄を極める。民主主義と自由を叫ぶアメリカから生まれた、均一されたかのようなライフスタイルだ。

パリのファッションはマーケットとして、アメリカを常に意識し、また、アメリカの既製服業界の意向も考慮しなければならなくなる。特にオートクチュールは、ハイファッションすぎたことから、アメリカのファッション業界には全面的に受け入れられていた訳ではない。

パリがファッションにおける絶対的な中心である状況は次第に変化。戦後の大衆社会において、ごく限られた人たちのための少量のオートクチュールではなく、大量生産が必要になっていく。そんな中、アメリカ、正確に言えばイタリアも含めて新たに独自のファッション産業が発展していくことになった。

アメリカファッションの誕生

戦後一気に世界の中心となり、徐々に自国のファッション、アメリカンスタイルを意識するようになる。この時代に活躍したクレア・マッカーデルが打ち出していたスタイルはスポーツウェア(カジュアルウェア)をベースにした、シンプルで、性能性の高いファッション。彼女はヴィオネの影響を受けて、バイアスカットを使用した、着心地の良いデザインを追及する。アメリカファッションの誕生だ。

例えばニュールックも、そのまま持ち込むわけではなく、アメリカ型の実用性を組み込んだ上で、ライフスタイルに浸透させている。特に、40年代後半から50年代にかけての女性ファッションはシルエットを強調したもので、絞ったウエストライン、豊満なバスト、ゴージャスなヘアスタイルが女性の理想像となる。

マリリンモンローはこの時代のセックスシンボルとして君臨。ビリーワイルダーの映画『7年目の浮気』(1955年)で地下鉄からの風でスカートが捲り上がるシーン、マリリンモンローが、あのとき着ていたファッションはこの時代の象徴と言える。

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