オートモード平田 (Haute Mode Hirata)は、2026年春夏コレクションを2025年9月3日(水)に発表した。
オートモード平田は、帽子デザイナーの第一人者である平田暁夫が創設したハットブランド。平田暁夫は帽子のオートクチュールに匹敵する“オートモード”を掲げ、独自のバランス感覚で、革新的なアートのようなハットを提案した。イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)やヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)、コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)といったブランドのコレクションにおいてヘッドピースの製作を手掛けていたことでも知られている。
今日のオートモード平田では創設者の平田暁夫の意志と伝統を継承し、娘の平田欧子、そして欧子の長女である平田早姫、欧子の長男・平田翔がデザイナーを務めている。2026年春夏コレクションのショーにおいては、オートモード平田が受け継いできた技術をもとにしながらも、自由な発想で生み出した31点の帽子を披露した。
目を引くのは、彫刻的なフォルム。創設者・平田暁夫に捧げるリスペクトを表すファーストルックのハットは、フランス語で聖母を意味する“ノートルダム”を名に関した帽子。黒一色で、優雅にカーブする造形を際立たせている。
また、ダイナミックにブリムが広がるストローハットや、ブリムの延長線上で螺旋や円を描き、身体をも大きく取り囲むようなハット、波打つような装飾で有機的に仕上げたハットなど、オブジェのようなハットが散見された。型にとらわれない自由な形を描き出す帽子の数々からは、常に新しい帽子を追求していたという平田暁夫の帽子作りへの姿勢と情熱が継承されているのが見て取れる。
帽子を彩る装飾として、花のモチーフが随所に用いられている。ストローを編み込んだハットには手染めで可憐に仕上げたミモザの花をプラス。さらに、後ろに向かって珊瑚の花が大きく開くブルーの帽子や、天面から花々がこぼれ落ちるようなトップハット、花束を頭にかぶっているかのようなハットが登場した。ブラックのハットからふんわりとした白のシルクローズが顔をのぞかせる、幻想的なデザインも印象的だ。
素材選びにもオートモードのこだわりが光る。オーセンティックなストローや上品なマニラ麻をメインにしつつ、独自の素材使いを探求。京友禅の技法を応用した「京都レザー」とのタッグによるハットは、高くそびえるフォルムとレザー素材の光沢がシックな調和を織りなしている。和紙を貼り合わせたレザーでアクセントを加えたカットアウトデザインのストローハットや、青森ねぶた祭りの山車に用いられる和紙を重ねてカラフルに仕上げたハットも存在感を放っていた。
なお、ランウェイに登場したウェアは、リュウノスケオカザキ(RYUNOSUKEOKAZAKI)の岡﨑龍之祐、ミスターイット(mister it.)の砂川卓也、タム(Tamme)の玉田達也、テン(TEN10)が手掛けている。