セイヴソン(Seivson)の2026年春夏コレクションが、2025年9月3日(水)、東京・渋谷ヒカリエにて発表された。
今季のテーマは「アフターライト(AFTERLIGHT)」。女性の身体を細分化し、その骨格や刻まれてきた痕跡を、解体と再構築を経た布によって表現することで、本質的な脆さと強さを浮かび上がらせた。そしてそれは、デザイナーのヅゥチン・シン(Tzu Chin Shen)のルーツである台湾の、断裂や淘汰、再生を経てきた歴史にも呼応している。
象徴的なのが、タイトな赤いニットドレス。繊維レベルまでほどいた布を、血管や骨格に見立て、女性の身体として形を成す一本一本の線を可視化するように構築した。本来内側にあるものを表出させることで、時とともに変化していく身体の変わらない部分を表現し、本質としての人生の軌跡を示唆した。すべて手作業で仕立てたリズミカルな織りと結びは、女性の内なる力が湧き出しているかのようだ。
ニットドレスのほかにも、フロントに幾何学模様の透かし編みを施したブラックのニットキャミソールドレスや、シアー素材とファーを組み合わせたセットアップなど、肌を見せるようなルックが多く並ぶ。女性が紡ぐ痕跡や時間の重み、そしてそこに重なる台湾という土地の本質をのぞかせるイメージを反映させたという。
また、入り組んだプリーツを施した、ボリュームのあるブルゾンも目に留まる。女性が生きていく中で経てきた傷や皺を託したというプリーツは、ランダムな洗い加工をかけた台湾製ポリエステルに落とし込んだ。複雑な折り目が光を柔らかく受け止め、スタイリングに豊かな陰影と奥行きを与えている。
ストライプ地にチュールを重ねた断ち切りのショートパンツには、端に裂いたような痕跡が走り、タイトなニットミニスカートには切り裂いたように捲れた穴があけられている。傷跡を思わせるようなディテールだが、裂け目のほつれがドレープにラフで新鮮な表情を生み、切り裂かれたダメージはセンシュアルな魅力へと転化。傷や痕跡を自らを演出するものとして昇華するタフさを感じさせる。
帽子ブランドのカシラ(CA4LA)とシューズブランドのスブ(SUBU)とのコラボレーションアイテムも発表。国境を越えて活動するセイヴソンと、台湾をはじめ世界へ展開する日本発の2ブランドが共鳴し、実現に至った。セイヴソンを象徴する“ネジ”を想起させるモチーフをフロントに配したキャップや、スブならではのぽってりとしたフォルムのアッパーに、厚底ソールを組み合わせたシューズが登場した。