バレンシアガ(BALENCIAGA)の2025年冬コレクションが、フランス・パリにて発表された。
バレンシアガを率いるクリエイティブ・ディレクターのデムナは、世間一般的なドレスコードに焦点をしぼった。特定の場所において必要とされるドレスコードは、その場の雰囲気、その人のスタイルや風格など、他者に与える印象を守るもの。今季は、その場にふさわしいとされるワードローブを改めて見つめ直し、スタンダードの定義と再考を実践したコレクションとなった。
まずはじめに、ビジネスはもちろん、フォーマルな場にふさわしいテーラリングウェアに目を向けたい。いずれも、スタンダードフィットのツーピーススーツに仕上げている。ファーストルックのスーツはベーシックなスタイルで、基本に立ち返っているといえる。
一方で、手作業によるシワ、そして虫食いのような加工を施したスーツは、本来持つ洗練さや信頼感からはかけ離れた、もしくはTPOにそぐわない、固定観念に真っ向から立ち向かっているデザインと言っていいだろう。
トレンチコートやフーディ、パファーなどのデイリーウェアには、メゾンが培ってきたクチュールの技術やスタイルを活かし、ひねりをプラス。マキシ丈や七分丈のコート、フェイクファーコートには、分量感のあるフレアなシルエットを採用。下半身にボリュームを加えることで、デイリーウェアでありながらドレスのような佇まいに仕上げている。
クチュールの感覚を取り入れたルックとして、モルトン素材を使用したフーディ付きマキシドレスが挙げられる。シルエットには、1967年に発表されたシルクガザールのウェディングドレスのアイデアを採用。カジュアルなフーディーというアイテムを、無駄のないラグジュアリーなアイテムへと昇華させた。
服作りにおける黄金比を再考し、様々なアレンジを加えたルックも散見された。たとえば、Tシャツはスタンダードなパターンはそのままに、袖を引きちぎるようにして切り落としたデザインに。アームの部分が深く削り取られ、タンクトップのようなバランスになっている。また、シャツやレザージャケットにはコルセットのディテールを取り入れ、体型を補正する役割を付随させた。
プーマ(PUMA)とのコラボレーションにも注目。サッカーのウォームアップスーツを思わせるトラックスーツには、ライオンの紋章をあしらったバレンシアガオリジナルのロゴを配した。また、プーマのアイコニックなスニーカー「スピードキャット(Speedcat)」をしなやかなスエードでアレンジしたフットウェアもデビューする。
また、2024年夏コレクションで初めて登場したレーシングスーツメーカー・アルパインスターズ(ALPINESTARS)とも再タッグを組み、漆黒のヘルメットを製作した。