グッチ(GUCCI)の2026年春夏コレクションが、2025年9月23日(火)、イタリア・ミラノにてフィルム形式のプレゼンテーションで発表された。
新クリエイティブ・ディレクターにデムナが就任し、グッチ新時代の幕開けとなった2026年春夏コレクション。ブランドのビジョンを築く出発点として「La Famiglia(家族)」をテーマに掲げ、グッチの伝統をデムナ流にリミックス・再解釈した。
コレクションは、グッチを纏った人たち“グッチファミリー”のポートレートで構成されている。人生を謳歌することに夢中なMiss Aperitivo、SNS時代の熱狂的なファッショニスタであるL’influencer、注目の的となることの光と影を映し出したPrincipinoとLa Principessa。それぞれのキャラクターがグッチの伝統的アイコンやブランドコードを体現し、個性豊かな人物像を描き出している。
特筆すべきは、ブランドの伝統を受け継ぐシグネチャーアイテムやモチーフの再演出だ。ブランド創設者グッチオ・グッチのイニシャルを冠した“GG”パターンは、アイウェアからローファーに至るまであらゆるアイテムにあしらわれ、全身を装飾。鮮やかなフローラプリントはロングドレスに変わらぬ美しさで咲き誇り、あるいは夜を思わせる新たな解釈で姿を現す。
個性豊かなキャラクターたちに寄り添うように、シルエットも実にさまざまである。壮麗なマキシマリズムを象徴するのは、フェザーのオペラコートや虎柄のファーコート、肩パッド入りのジャケット、贅沢に煌めくハイジュエリーなど。その一方で、タイトなチューブトップドレスやスイムウェア、透け感のあるボディコンシャスなセットアップがミニマルな官能性を引き立てている。
レトロな優雅さを参照するデザインにも注目したい。1960年代風のリトル・レッド・コートに、クロコ調のハンドバッグを纏ったルックがその好例。ヘッドスカートにグローブ、極太フレームのアビエーターサングラス、大ぶりのブローチといったアクセサリー使いもまた、クラシックな気品を際立たせる。
レザージャケットやボンバージャケットにみられるバイカー的な要素は、コレクションにタフさを加えるアクセントに。反骨精神やアティテュードの反発を感じつつ、エレガントさを見失わない絶妙なバランス感覚はデムナならではと言える。
ハンドルを竹でアレンジしたハンドバッグ「グッチ バンブー 1947」は新しいプロポーションとなり、1953年以来のアイコンであるホースビット ローファーとともに提案。スリングバックのキトゥンヒールや、かかとを踏んで履くソフトレザーのミュールは、「完璧さの中にある計算された自然体」という意味を持つイタリアの美学“スプレッツァトゥーラ”を体現し、コレクションに抜け感をもたらした。