シルク・ドゥ・ソレイユの魅力に迫る -“サーカス×エンタメ集団”の歴史、歴代人気演目や日本公演
1984年にカナダ・ケベックで誕生して以来、世界中にファンを持つといわれる世界的サーカス・エンターテインメント集団シルク・ドゥ・ソレイユ。人間の持てる能力の限界まで追求したパフォーマンスと深いストーリー性、生演奏、照明、舞台美術、衣装、振付などこだわり抜いた演出によって、世界中の観客の心を掴んできた。

Photos: Cirque du Soleil 2021 / Costumes: Dominique Lemieux
今回は、そんなシルク・ドゥ・ソレイユの誕生から世界的サーカス・エンターテインメント集団として成長した現在に至るまでの歴史を辿るとともに、高い芸術性を誇るシルク・ドゥ・ソレイユの衣装やストーリーへのこだわりについて紹介し、その人気の秘密に迫る。
“ただのサーカスじゃない!”シルク・ドゥ・ソレイユの魅力
シルク・ドゥ・ソレイユとは?
シルク・ドゥ・ソレイユの誕生、その歴史を辿る

シルク・ドゥ・ソレイユは、1980年代初頭、ジル・サンクロワらが創設したパフォーマーグループ「ベー・サン・ポールの竹馬乗り(Les Échassiers de Baie-Saint-Paul)」という名で産声をあげた。このグループは、ジャグラー、ダンサー、火吹き芸人、ミュージシャンらで構成され、のちにシルク・ドゥ・ソレイユの中核となる存在になる。

そのメンバーの1人である火喰い芸の大道芸人ギー・ラリベルテは、地元以外のファンを喜ばせる準備ができたと判断し、1984年にツアーをスタート。この新たな移動式劇団を「シルク・ドゥ・ソレイユ」と名付けた。
3年後には、シルク・ドゥ・ソレイユは初のアメリカ公演を実施。その先進的なパフォーマンスで、多くの人やメディアを驚かせた。詳細な舞台デザイン、四方を客席で囲んだステージ、観客とのコミュニケーションなど、現在にも続くシルク・ドゥ・ソレイユのショーの核となるものが既に完成されていた。
シルク・ドゥ・ソレイユの名前の由来

ラリベルテ曰く、「太陽は若さ、エネルギー、強さを象徴している」そう。「太陽」を意味する「ソレイユ(Soleil)」を冠して、“太陽のサーカス団”という意味を持つ「シルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)」と名付けられた。
ラスベガス旅行のおすすめスポット!常設劇場
ラスベガスには、シルク・ドゥ・ソレイユの人気演目を上演する常設劇場が設立されている。この最初の劇場は、1993年に上演された「ミスティア」のために特別にデザインされたもので、複雑な構造をしていた。なお、シルク・ドゥ・ソレイユは今でもラスベガス旅行に欠かせないコンテンツとなっており、特にラスベガスのベラージオホテルにて常設公演が行われている「O(オー)」は、舞台上に設置された巨大なプールによる、水を使った演出で人気を博している。
日本で上演された歴代演目一覧

©Photo: OSA Images Costumes: Kym Barrett © 2010 Cirque du Soleil
常設劇場の盛況も相まって、シルク・ドゥ・ソレイユはヨーロッパ、アジア、南米と世界中へと進出。世界中の劇場を“現代のサーカスファン”で溢れさせてきた。日本では、1992年の「ファシナシオン」を皮切りに、今まで以下の演目が上演されている。そして2023年、5年ぶりに日本へ上陸し、シルク・ドゥ・ソレイユにとって最も重要なショーの1つ「アレグリア-新たなる光-」を上演する。
<過去のシルク・ドゥ・ソレイユ来日公演>
1992年 ファシナシオン
1994年 サルティンバンコ
1996年 アレグリア
2000年 サルティンバンコ 2000
2003年 キダム
2004年 アレグリア2
2007年 ドラリオン
2009年 コルテオ
2011年 クーザ
2013年 マイケル・ジャクソン ザ・イモータル ワールドツアー
2014年 オーヴォ
2016年 トーテム
2018年 キュリオス

©Photo: Martin Girard / shootstudio.ca © 2014 Cirque du Soleil
一覧を見て分かる通り、来日した演目はたとえ人気演目であっても基本的にはその時限りとなる。ラスベガスに常設された劇場では、同じ演目を見続けることが可能だが、日本には常設の劇場が現在はないため、来日公演が決まったら以後いつ見れるかわからないというのがポイント。
「葬列」がテーマなのに、ユーモラスで幻想的な作品「コルテオ」
来日した作品の中でも、2009年に上演され人気を博した「コルテオ」に注目だ。「コルテオ」では、壮大さと親密さ、愚かさと悲劇、完璧な美しさと不完全な魅力といった要素が対比され、また主役であるクラウンの強さと弱さ、知識と寛容さを強調することで、ひとりひとりに内在する人間性の一面を表現。
クラウンは、自分の葬儀が祝祭の雰囲気の中で行われ、優しい天使に見守られることを思い描くが、そんな暗くなりがちなテーマを扱った内容をも明るく幻想的に演出した。
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