19歳の宮田陽彩(みやた ひいろ)は、“クソ”のような大学生活を送っていた。大学に通い、それ以外の時間のほとんどを浪費家の母に変わっての家事とコンビニでのアルバイトに費やし、その中から学費と母と2人暮らしの家計8万を収める日々。遊ぶ時間も、金もない。何かに期待して生きてきたことがない。親にも、友人にも……。
いつものように早朝にバイトを終えた宮田は、母のために朝ご飯を作り、家事をした後に大学に登校していた。そこで大学の同級生であり、バイト先の同僚でもある 江永雅(24)のひょんな噂を耳にする。威圧的な金髪、メイク、ピアス——バイト先ではイヤホンをつけながら接客する、地味な宮田とは正反対の彼女の噂。「江永さんの父さんって殺人犯なんだって」他の誰かと普通の関係を築けないと思っていたふたり。ふたりの出会いが人生を変えていく——。
映画『愛されなくても別に』は、武田綾乃の同名小説を、主演・南沙良で実写化した作品。親の存在に悩む2人の大学生の出会いから始まる青春逃走劇を描き出す。監督は、2016年公開の短編映画『溶ける』にて日本人最年少でカンヌ国際映画祭への出品を果たした井樫彩。