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「村上春樹なくして、ギャツビーなし」 - 映画『華麗なるギャツビー』バズ・ラーマン監督が語る製作秘話

F・スコット・フィッツジェラルドの小説『グレード・ギャツビー』を基に、独創性に溢れる脚本家・プロデューサー・監督を務めたバズ・ラーマンが独自の解釈と想像力で、監督初の3D映像で新たに蘇らせる『華麗なるギャツビー』が2013年6月14日(金)に公開となる。

本作は、世界3大映画祭のひとつ第66回カンヌ映画祭で、実写3D映画として映画祭史上初のオープニング作品、またオフィシャル・セレクションの特別招待作品(アウト・オブ・コンペティション部門の作品)として上映されたことでも話題となり、全世界で大ヒットを記録している。日本公開を目前にした6月12日(水)に、伊勢丹新宿店で開催中の『華麗なるギャツビー』世界展にそのバズ・ラーマン監督が来場し、記者会見を行った。

映画のPRとしては4年ぶりの来日となる監督自身が、ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)とニック(トビー・マグワイア)が劇中で着用した衣装を携えて、キャストたちの撮影秘話や、本作を華麗に彩ったブランドとのコラボレーションの経緯などについて語った。

司会:それでは今回の展示について、ご挨拶をお願いします。

監督:本当に美しい展示だと思います。伊勢丹さんはつい最近改装されて、『華麗なるギャツビー』の「モダン・デコ」の世界観にとてもマッチしています。このふさわしい場所で、開催できることを嬉しく思います。実際にディカプリオが着た衣装や魅力的なジュエリーが展示されているんですが、後で失敬したいくらい素敵なジュエリーだなぁ。

衣装デザインを手がけた美術監督であり、私の妻でもあるキャサリン・マーティンは、日本に来たがっていましたが、ここには連れてこられません。買い物をし過ぎちゃいますからね(笑)。

司会:今回は3Dでの公開も決まっておりますね。実際に衣装を見ると質感が素晴らしいことがわかるのですが、3Dではそういったところも楽しめますか?

監督:今回は普通とは全く違った方法で3Dを使用しています。そのインスピレーションはファッションから来ています。1960年代に作られたアルフレッド・ヒッチコック監督の『ダイヤルMを廻せ!』を見たんですが…。あれは3Dで撮られているんですよ。その映画の中で、3Dのグレース・ケリーがディオールを着て、ある部屋の中でのシーンを演じたんですが、今は亡きアイコンである彼女が動いている様子が、信じられないほど素敵だったのです。グレース・ケリーとその衣装は、自分の目を疑うほど綺麗でした。まるで彼女に自分の手で触れることができるかのような感覚……。触っちゃいけないところを触りそうになっていたかも(笑)。

私は、ディカプリオやプラダや私の妻がデザインした衣装、ティファニーを3Dで見せたいと思いました。ミウッチャ・プラダが手がけた衣装とディカプリオで、3Dのイメージをテストしたんです。3Dにより衣装が強調されてビジュアルが強烈で詳細に渡って伝わるので、既に上映されているアメリカでは、何度も映画館に足を運んで繰り返し見る人がいるんですよ。

司会:私も3Dで見たいと思います。

監督:知っていますか? 今、3Dの眼鏡は作ることができるんですよ。伊勢丹がスペシャルでファッショナブルな3Dグラスを作ってくれないかな?

ところで友人のステラ・マッカートニーが週末に会ったときに言ってたいんですが、イギリスの彼女の家の近くにある映画館では、前から2列のお客さんは皆、ギャツビー・ファッションで観に来ているそうです。そういうコスチュームで観るのが流行ってるんですよ。

司会:ではここからはマスコミの皆さんからの質問を受け付けたいと思います。

記者:映画を拝見したのですが、とても素晴らしかったです。レオナルド・ディカプリオは『ロミオ+ジュリエット』以来、17年ぶりに出演しているのですが、彼の人間性やたたずまいなどにおいて、変わらず素晴らしい部分、それから進化しているなと感じる部分の両方を教えてください。

監督:ありがとうございます(と日本語で)。そして、とても良い質問です。ディカプリオの変わったところ、変わらないところ、というのは今まで聞かれたことがないですよ。『ロミオ+ジュリエット』で出会った時、彼は19歳で若くて本当に才能に恵まれた青年でした。今は彼は成熟した男性です。今は私と対等に仕事のできるパートナーとなりました。

撮影スタジオのライティング・テント(台本などを執筆する場所)の中で、深夜の2時、3時まで起きて、私と一緒にセリフを直したり、キャラクターの詳細を練ったり……。強烈なパートナシップを組むことができています。以前は私から伝える感じでしたが、今は共に創り上げています。

そう言えば3週間前、村上春樹さんが彼のウェブサイトで言っていたのですが、彼が作家になったのは「華麗なるギャツビー」のおかげだそうです。「あの本が偉大なのは、まさに今を生きる自分たちがそこにいるように感じるから」と村上春樹さんは言っていました。日本が経験したバブルがあったから、その感覚を理解できるというのです。

ディカプリオと私はその言葉に共鳴を受けました。実は、スタジオ側は「華麗なるギャツビー」はアメリカ以外ではあまり知られていないという認識だったんですが、この映画のゴーサインを出すために、私たちは「そんなことはない。日本では村上春樹が『華麗なるギャツビー』を翻訳していて、日本で愛されているんだ」と説得したんです。だから「ノー・春樹、ノー・ギャツビー」だと言えますよね。

記者:監督自身も素敵なスタイルですが、今日は何をお召しでしょうか?

監督:聞いて下さって、ありがとうございます。昨晩、徹夜でシャツなど縫ってきました(笑)。さてそれが真実か、もしくはミウッチャ・プラダが全て提供してくれたか。ミウッチャ・プラダはとても良い友人で、実は『ロミオ+ジュリエット』の初めのジャケットも作ってくれました。そして初めてその映画を観てくれたのも、彼女とその夫です。今回、衣装でコラボレートした理由でもあります。私が着ているのは、全てプラダですよ。私も自分のファッションスタイルがありますから、妻が着せるがままではありません。

ブルックス ブラザーズもまた、素晴らしい衣装を提供してくれました。今回、限定のコラボレーションコレクションを作っていますよね。私も昨晩行きましたが、プラダの青山のブティックに行けば、新しいフラッパー・ルックの展示を見ることができます。とても素晴らしくてセクシーですよ。

先週末、ニューヨークで大きなジャジーなギャツビー・パーティをやったんですが、お客さんは20年代のファッションにジーンズなど現代的なアイテムをミックスして着飾りました。私もブルックスのトラウザーにTシャツを着て、このカンカン帽(と展示されている帽子を手に取って)をかぶったんです。2年前に原宿を歩いていたら、ストローハットをかぶっている人を沢山見ましたね。ニューヨークでも売り切れるくらい流行っていました。ちょっとこんな感じで斜めにかぶったりしてね。真剣にね、この帽子は映画のシンボルにもなっています。若い人はTシャツにジーンズに、この帽子をコーディネートしています。

だからこの映画は単なる映画じゃないんですよ。ポップカルチャーにも影響を及ぼしています。著者のフィッツジェラルドは、作品の中でポピュラーなジャズを入れています。だから私はジャズともうひとつの「J」であるJay-Zの音楽をブレンドしたわけです。当時と現代のブレンドをファッションでも音楽でも試みました。

村上春樹の話に戻ると、彼はフィッツジェラルドのギャツビーを「まるで現代の私たちだ」と言いましたね。だからこの映画もまさに「今」のことだと感じられるようにしたかったのです。先日、1925年の本を読んでいたら大恐慌が起きることを予言していたんですよ。この映画にも、過去を振り返って教訓を伝えて前に進みたいというメッセージ性もあると思います。

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