ジョウタロウ サイトウ(JOTARO SAITO)の2026年春夏コレクションが2025年10月10日(金)、発表された。
モダンな着物を提案するジョウタロウ サイトウが今季テーマとするのは、「新章、花鳥風月」。日本の古典に敬意を払いつつ、令和の感性でアップデートした“新たな伝統美”に挑戦した。従来の価値観が絶えず揺さぶられる令和という時代を映し出すかのような、斬新な表情の花柄が主役となっている。
そのテーマを体現するのが、ファーストルックの振袖。咲き乱れる花々を敷き詰めた総柄を、チャコールグレーとブラックで仕立て、髪飾りや草履などの小物も無彩色でまとめることで、本来絢爛な花の総柄をシックなムードに。デザイナーの斉藤上太郎曰く、多様化した価値観の中での新たな”可愛さ”を表現したという。
光と影の描写も見どころ。随所に見られるバラモチーフでは、影のぼかし幅を短く描くことで、コントラストを強調し、染めをあえてプリントのような質感へと引き寄せた。また、花の影に鮮やかなカラーを差した柄も散見される。光を描写するのではなく、影にインパクトを置くことで、花びらが浮かび上がっているかのような立体感を生みだした。ベースとなる格子柄は控えめな光沢で表現し、スタイリッシュな印象に仕上げている。
メンズ・ウィメンズ共通で登場するのは、ワントーンの花々の間を稲妻の閃光のように赤い茨が鋭く走る柄。女性の着物で使われることの多い花柄にシャープな棘を纏わせることで、ロックな表情に仕立てている。また、ジョウタロウ サイトウを象徴する「縞ボタン」は、今季も登場。水紋のように広がる大輪の花が、茨とともにモードな雰囲気を演出している。
シックな色調の着物が並ぶ中、目を引くのは箔モールが煌めく帯や半衿、帯紐などの小物。モノトーンの花柄を配した帯揚げは、メンズではストールとして装いに華を添えている。足袋にはアニマルパターンを忍ばせ、ジョウタロウ サイトウらしい遊び心を効かせた。