ガブリエラ ハースト(GABRIELA HEARST)の2026年春夏コレクションが、2025年10月1日(水)、フランス・パリで発表された。
ガブリエラ ハーストの2026年春夏シーズンは、ガブリエラが長年にわたり魅了されているというタロットにインスパイア。「恋人」のカードから着想を得たリゾートコレクションに続き、今季は誰かの人生や魂の旅が主要なエピソードとみなされる「大アルカナ」のインスピレーションを衣服に落とし込んだ。
全体を通して、女性らしさを際立たせるドレスルックが中心。多彩な素材とクラフト技術で、バリエーション豊かに提案しているのが特徴だ。
たとえば、ファーストルックに登場した、2,500個ものレザーフラワーを手作業で装飾したドレスは、「THE EMPRESS(女帝)」カードにおけるフェティシズムや肥沃性を表現した1着。「THE SUN(太陽)」のカードはゴールドの箔押しリネンを採用したパフスリーブのドレスに、「THE MAGICIAN(魔術師)」のカードはアーストーンのマルチストライプの袖が付いたリネンドレスへと姿を変えている。
多彩なドレスが登場する中でもひときわ目を引いたのが、さまざまなサイズのマルチカラーのスターパーツで構成された「THE STAR(星)」のニットドレス。パーツはひとつひとつ編み上げられ、手作業で床までの長さに繋ぎ合わされている。このほか、1,200個ものレザーの星で組み立てられたドレスやコート、トートバッグなども提案された。
タロットカードの4つの種類であるディスク、カップ、ワンド、剣を描いた金メッキのチャームと、「DEATH(死神)」を象徴するスカルチャームは、コレクションに華やかさをプラスするポイント。カシュースエードのコートやスカートのフリンジに手作業であしらわれ、マットな質感の上に煌めきを与えた。モデルが歩みを進めるたび、鈴のようにシャンシャンと鳴り響き、聴覚からもアクセントを添えている。
カラーは、ホワイトやブラックといったベーシックなパレットに、目の覚めるような原色をプラス。中でも今季の色彩をアイコニックに表現しているのが、コレクションのすべての色を組み込んだガブリエラの手描きの絵からインスピレーションを得たニットやデニム。鮮烈なレッドやイエロー、ブルーなどで彩られた抽象的なドローイングにより、“着るアート”のような佇まいに仕上げた。
ショーの締めくくりは、降伏の考えを示す「THE HANGED MAN(吊るされた男)」のルックでフィニッシュ。ブラックのスエードとカシミアのメリノニットを使用したドレスに、巻き付けるようにして編み込みレザーのディテールを配し、縄に縛られた姿を表現した。