ヴェルサーチェ(VERSACE)の2026年春夏コレクションが、2025年9月26日(金)、イタリア・ミラノにて発表された。
メゾン史上初めての“ヴェルサーチェ家ではない”チーフ・クリエイティブ・オフィサー、ダリオ・ヴィターレのデビューコレクションは、ミラノ中心部のアンブロジアーナ美術館が舞台。神々しい傑作の数々を所蔵する一方で、かつては私邸として使われた親密な空間だ。
ヴィターレは、ヴェルサーチェの耽美でグラマラスな装いを、より日常に根ざしたリアルクローズとして昇華。メゾンのアイコニックなイブニングドレスを封印し、ポップで力強いストリートのエッセンスを加えている。
ショーのオープニングを飾ったのは、80年代を思わせるレトロなピース。スリーブを大胆にカットしたシャツやニットに加え、マイアミビーチを想起させるハイウエストのカラーデニム、パワーショルダーで仕立てたリネンのテーラードジャケットなどが登場。その鮮やかかつ大胆な配色でプレイフルなムードを演出した。
テーラリングのカジュアル化にも注目したい。オーバーサイズのグレーのスーツは、シャツの代わりに溌溂としたイエローのデニムジャケットを差し込み、抑制されたムードを開放。ベージュのテーラードジャケットは、大ぶりなポケットのディテールで、ワークシャツのエッセンスを取り込んでいる。ベルトを締めない、ボタンを留めない、ジッパーを閉じないといった細部の装いもまた、テーラリングにラフな“崩し”をもたらしている。
力強いレザーピースが散見されたのも今季の特徴。幾何学模様にレザーをパッチワークしたブルゾン、ストライプが浮かび上がるレザースカート、クロコ調のレザーパンツなどが織り交ぜられ、アンティーク風のメタルベルトやペンダントとともに提案されている。
もちろん、ヴェルサーチェの核である官能性は今季も健在。アイコニックなチェーン素材は、スリットが入ったラフなシルエットのメタルドレスで、気負いのないデザインに再解釈。ビーズ刺繍を配したブラトップや、ゴールドに輝くスカートなども登場し、芸術的な華やかさを添えた。