イン(IHNN)の2026年春夏コレクションが2025年8月19日(火)、東京・赤坂の草月会館にて発表された。テーマは、「日常への招待」。
2025年、記念すべきブランド設立10周年を迎えるイン。デザイナーのイン・チソンは、10年間の感謝の気持ちと、日々の風景にアクセントを加えた"新たな日常"を衣服に落とし込んだ。コレクションを通じて、インのモードな女性像を再定義していく。
一捻りを効かせたリアルクローズを軸に展開する今季。それが顕著に表れていたのは、大胆なカッティングだ。たとえばヒップが隠れるほどのミニワンピースは、胸元とアームホールを深くカットし、センシュアルな雰囲気を演出。
袖を切り落としたレザージャケットや、Wジッパーで仕上げたVネックのトレンチコート、ストライプシャツを複雑に切り込み、数層に重ねたシャツワンピース、立体的なシルエットのノーカラーシャツなど、あえて既存のシルエットを崩した‟アンバランス”なウェアが続く。
毎シーズン、オリジナルで制作しているグラフィックにも注目したい。ウエストがギャザリングされたワンピースは、海に沈む夕日をイメージしたグラフィックを採用。パステルトーンのブルーからピンク、深みのあるネイビーまでが溶け合うグラデーションで、夕暮れの情景を繊細に表現した。
また、オーガンジー素材にデニムプリントを施したルックも登場。プルオーバーシャツパンツのマニッシュなスタイリングに、歩くたびに空気を取り込み、軽やかに揺れるシルエットが大人の余韻をプラスする。いずれも日常に寄り添う、インらしい上品なリアルクローズを提案していたのが印象的だ。
ベーシックカラーが主流のコレクションを彩る、アクセサリー&バッグも今季ならでは。韓国人アーティストであるキム・ジュンスとコラボレーションした花束やバッグを連想させるアクセサリー、バッグブランド「アトリエ・ド・ルメン(Atelier de LUMEN)」によるボストンバッグなどが散見された。「今後は、日本と韓国の上質なアイテムをミックスしていきたい」というイン・チソンの想いが込められている。