シュタイン(ssstein)は、2026年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションを2025年6月24日(火)にフランス・パリで発表した。
ミニマルで自然体、なおかつエレガントなクリエーションを軸とするシュタインが、パリでは2回目となるとショーを開催。デザイナーの浅川喜一朗は「ブランドの本質は毎シーズン変わらない」と前置きしつつ、今季は「カラーパレットのバランスの気持ち良さ」に着目したという。
常に写真からインスピレーションを得ている浅川が、今季の着想を得たのはコリーヌ・デイの写真集。作家のフィルターを通して切り取られた写真作品の、微妙なニュアンスを含んだ色彩や空気感にアイディアを得て、素材とカラーの心地よい調和を追求した。
起毛感のある柔らかなニットは、その繊細な質感を生かして色の重なり合いを表現。淡いミントグリーンとクリームイエロー、ウォーミングなブラウンとポピーレッドなど、柔和な色の組み合わせを見て取ることができる。白いTシャツと黒いベストの間にグレーのニットを重ねたルックは、写真における光と陰影の奥行きを連想させる。
また、デニムにはブルートーンのシャツを合わせ、凛とした佇まいに。セットアップに用いられたブラウンは落ち着きのある色合いで温かみのある表情を見せ、スムースなナイロンブルゾンに採用されたネイビーは、その深く静謐な色味が上品さを演出していた。
色彩に加えて、コレクションに光のアクセントをもたらしていたのは、艶のあるレザー。薄くしなやかなレザージャケットをはじめ、オイルを揉みこんで味わい深く仕上げたレザーブルゾン、大きめのメッセンジャーバッグが登場している。また、ハリのあるアウターの襟に部分的にレザーを用いたり、テーラードジャケットの上からレザーコードを巻いたり、マットな生地と光沢のあるレザーの描き出すコントラストも印象的だ。
また、優雅なドレープを描く、たっぷりとした分量感のワイドパンツや、ふわりと空気を含むような袖が曲線的なフォルムを織りなすブルゾンなど、身にまとった時に身体に自然になじんでいくような緩やかなシルエットが散見された。
特に、裾にボタンを配し、身頃を二層構造に仕立てたステンカラーコートは、なだらかにカーブしながら落ちていく布地の流れが目を引く。シュタインのシグネチャーであるドッキングシリーズの新作で、エレガントな布地の流れは計算されたパターンメイキングによるもの。構築的な仕立てながらも硬さの無い、柔らかな佇まいに仕上げている。