ナゴンスタンス(någonstans)の2025年秋冬コレクションが2025年5月13日(火)、東京・六本木の新国立美術館にて発表された。
スウェーデン語で“どこかへ…”を意味するブランド名の通り、“SOMEWHERE YOU BELONG(あなたと調和するどこかで)”をコンセプトに、日常と非現実が交錯する服を提案するナゴンスタンス。人は自分と調和する場所をどこかに追い求め、日常から離れて旅へ出る。それぞれの旅先で見つけたものを受け入れながら、新しい自分へと成長していく過程を衣服で体現している。
そんなナゴンスタンスが今季赴くのは、日本アルプスの美しい雪山。荘厳な景色で人々を魅了する一方、雪山に降り立つと、凍り付くような寒さと強い風で打ちのめす。見渡す限り続く白銀の世界では、自分の無力さや生きている心地をダイレクトに感じることができるのだ。圧倒的なスケール感と静寂を併せ持つ雪山と調和するコレクションを展開する。
序盤は、一面に広がる雪景色を表したカラーリングが続く。幾何学的な膨らみが印象的なワンピースは優しいベージュ、セットアップは頭からつま先までオールホワイト、温かみのあるウールのジャケットは雪を踏みしめた後のようなグレー。また、壮大な景色を彷彿とさせるカラーと、雪山へ繰り出すスノーウェアを彷彿とさせるワードローブの中に、都会的な要素を組み込んでいるのも特徴的で、時折トップスのレイヤードにはクリーンなシャツがあわせられている。
中盤になると自然と調和したムードから一転、よりコンセプトが主張的になり、鮮やかなヴィヴィッドカラーを組み合わせた“登山家”ルックが現れる。特に目を引いたのが、空気をはらんだ膨らみのあるシルエットだ。たとえば襟付きジャケットは、無数のギャザーをよせて量感を出し、ダウンコートは、身頃も袖もボリューミーなAラインを採用している。
複雑な立体ポケットが配置されたマウンテンパーカーは、機能美を体現する1着として登場。そして、移り変わる空の色とともに雪山を全身で表現したスタイリングは、まさに“今、そこで”雪山の景色を見ているかのようだ。
終盤は、ナゴンスタンスらしい複雑なパターンテクニックとカッティング、カラフルなカラーパレットが交錯する。素材も多種多様で、アルミシートを彷彿とさせる機能的素材があれば、目の覚めるようなイエローの起毛モヘアもある。今季は、寒い場所にも耐えうるよう肌を覆い、重ねることを終始一貫しているが、終盤にそのテクニックがより活きてきた印象。柄は一層複雑に、テクスチャーとカラーパレットはこれまでになく強いコントラストで表現されている。