COS(コス)が、2025-26年秋冬コレクションをニューヨークファッションウィーク期間中の2025年9月14日(土)に発表した。
どんな時代のデイリーシーンにも馴染むミニマリズムとクラフトマンシップが光る構築的なデザインは、COSが変わらず提案しているもの。今回は秋冬シーズンらしく、それらをシックに、そしてコントラストのある素材感でエレガントに表現した。
シルエットは、まるで体を優しく丁寧に包み込むように。トップスはアームホールを大きくとることで、バックスタイルに空気を孕ませ、余韻を残す美しさをもたらした。ウィメンズでは、デコルテを美しく見せる広めのVネックライン、そして優しいドレープとギャザーによって女性らしさを表現している。これらは、1950年代にディオールが発表した伝説的な「ニュー・ルック」からインスピレーションを得たという。
一方メンズは、余裕のある男性を演出する、ジャストサイズあるいはややビッグシルエットを軸とした。ウィメンズと同じく構築的なデザインが印象的で、テーラードは厳格なシルエットである一方、アウター類は優しく丸みあるラインを描いている。コレクション全体を通じて、トラウザーは歩くたび揺れを感じるようなワイドな仕立てで提案した。
カラーパレットは控えめであるのに対して、素材の見せ方がバリエーション豊富で楽しい。ほんのり光沢のあるウール、上品なツイード、バスケット織りのニット、柔らかなレザー、毛足の長いシアリング……といった視覚から温かさを感じるテクスチャーが取り入れられている。また、ブラウンの色調で取り入れたチェック柄は今季のキーファブリックのひとつだ。
これらと対峙するように用いられた軽やかな素材は、COSのワードローブの汎用性を象徴している。光と対話するように光るシルクドレスや優雅に揺れるシアーなロングスカートは、昼でも夜でも女性の生活に寄り添えられれば、という思いさえ感じられる。
最後に目を向けたいのが、ディテールに見られる実用的な一面。例えば、スタンドカラーで登場したコートの中には、襟元のボタンをはずして下ろすことで、チェスターコートやラップコートのように着こなすこともできる。また、それぞれのアイテムの可能性を広げるレイヤードのスタイリングも魅力的に映った。