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竹野内豊にインタビュー、映画『唄う六人の女』“いつも頭の片隅に演じるキャラクターを置いておく”役作り

映画『唄う六人の女』で山田孝之と共にW主演を務め、亡き父に複雑な葛藤を抱える萱島役を演じた竹野内豊にインタビュー。観る者を惑わせ、翻弄し、驚かせ続ける、独創性に富んだ『唄う六人の女』への出演はどのように決まったのか?公開に先駆け、話を伺った。

竹野内豊 インタビュー|写真3

映画『唄う六人の女』は、マネキン主演の奇想天外なドラマ『オー!マイキー』や山田孝之主演の異色ファンタジー『ミロクローゼ』など、独創的な世界観で人々を魅了する奇才・石橋義正が監督・脚本・編集を手掛けた作品。車の事故で偶然迷い込んでしまった美しい森を舞台に、正反対の性格の2人の男が本能で動く美しい女たちに翻弄されていく様を描いたサスペンススリラーだ。

“理解しきれない独創性に富んだ作品”

竹野内豊 インタビュー|写真4

映画『唄う六人の女』への出演を決めた経緯を教えてください。

映画『ニシノユキヒコの恋と冒険』(2014年公開)の撮影中にプロデューサーの方から、石橋監督の映画『ミロクローゼ』(2011年公開)をおすすめされて鑑賞したのが始まりです。『ミロクローゼ』は、主演の山田孝之さんが1人3役を演じるラブファンタジーなのですが、独創的な世界観で、こういう作品を作る監督が日本にもいるんだと思いました。

また、以前、原田美枝子さんと共演した際にたまたま、面白い監督と出会ったというお話を聞いていて、それが石橋監督だったのですが、それから数年後、オファーをいただいた時は本当に嬉しかったですし、少し運命的なものを感じたので、参加させていただきました。

そんな石橋監督が手掛ける『唄う六人の女』は、美しい森を舞台にしたサスペンススリラーです。初めて物語に触れた時、どのような印象を受けましたか?

作品の大枠を知ったのは企画段階でしたが、本当に理解しきれない独創性に富んだ作品で、私に限らず、誰が企画書を読んでも難しい作品だろうなと思いました(笑)。ただ、シンパシーのようなものを感じたことは今でも覚えています。と言うのも、私自身も昔から自然が好きで、幼い頃は山や川で日が暮れるまで遊んでいました。虫や爬虫類でもなんでも捕まえては家に持ち帰り、まあ母や姉は嫌だったと思いますが、のびのびと自然の中で育ちました(笑)。

劇中では、萱島が六人の奇妙な女性たちに監禁されてしまいますが、私も幼い頃にちょっと不思議な体験をしたことがあります。友人たちと数人で山の中で遊んでいる時、不意にその場にいない誰かが話すような声を聞いた気がして、一瞬、皆んなで顔を見合わせて凍りついてたんです。まるで人間とは思えない話し声が徐々に大きくなってきたので、怖くなって猛ダッシュで山から逃げ出した記憶があります。ですから、今回の作品は、物語の意味を理解するというよりも、石橋監督が描きたかったことを肌感覚でなんとなく分かったような気がしました。

完成した台本を読まれた時はいかがでしたか?

これはもう石橋監督の頭の中だけに成立した世界観があるんだなと思いました。脚本を読んだ印象として一番難しさを感じたところは、台本に書かれている台詞の言葉の裏に、もう一つ別の意味が隠されているように感じるところがあって、それは、ト書きのところどころに描かれる情景や心理描写の中にも垣間見えるような気がしていました。感覚的には理解は出来るんですけど、言葉で説明するのが難しい世界観でした。

竹野内豊 インタビュー|写真5

そんな独創的な世界観を作り上げていくために、準備したことはありますか?

机に向かって台本を読んでいるだけですと、どのような気持ちで萱島を演じるべきか分からないと感じたので、撮影に入る前に思い切って監督に質問しました。その時、監督から「この映画は人間社会だけでなく、生命にも目を向けようとする作品です。同時に生き物の愛おしさが感じられるような作品でありたいと思っています」と仰有っていたのですが、それもまた分かるようで中々理解しきれなくて(笑)。そうこうしている間にクランクインの日が近づいてきて、どことなく不安な気持ちを抱えながらロケ地の奈良と京都に向かうことになりました。現場に到着すると驚くほどの大自然が広がっていて。もうこれはこの土地で、自分が感じたことを頼りにやっていくしかないなと思いましたね。

ロケ地の1つとなった「芦生(あしう)の森」は、自然保護区域で一般の方は入れない場所でしたね。

はい。京都大学が管理している森なのですが、これは言葉でうまく表現が出来ないんですけど、なんとも神々しいといいますか、こんなにも素晴らしい原生林が、まだ日本にも残されていたのだと衝撃を受けました。素敵な場所で撮影ができる喜びもありましたが、何よりも日本人として誇らしい気持ちになりましたね。でも、そんな素晴らしい森でも、残念ながら何度も開発の危機に直面したそうです。人間の私利私欲のために自然を破壊しようとするのは、『唄う六人の女』の物語ともリンクしていて、改めてこの作品に出演する意味を深く考えさせられました。

『唄う六人の女』では、得体の知れない恐怖に立ち向かう姿も描かれていますね。竹野内さんにとって怖いものとは何ですか?

最初に思い浮かぶのは自然です。今回の撮影で改めて思いましたが、自然と比べたら人間なんてとてもちっぽけな存在で、どうしたって自然の力には抗えない。何よりも恐ろしいものは、精神性を見失ってしまった人間なのかもしれません。

“いつも頭の片隅に演じるキャラクターを置いておく”

竹野内豊 インタビュー|写真1

1994年にデビューして以来、ドラマや映画でジャンルを問わず活躍し続けている竹野内豊。ラストはそんな彼の俳優業にフォーカス。キャリアをスタートさせた頃から変わったという役作りの方法から、俳優業に感じている魅力まで話を伺った。

役作りをする上で大切にされていることは何ですか?

自分が演じることになった役について色々と事前に調べますね。あとは、いつも頭の片隅に演じるキャラクターを置いておくようにしています。もちろん、オンとオフの切り替えは大事ですし、常日頃考えているわけではありません。ただ、プライベートで映画を観ているときや、食事をしているとき、運動しているときなど、ふとした瞬間にひらめくことがあるので、どんなヒントも逃さないよう、演じるキャラクターに少しでも近付きたいという気持ちは常に持つようにしています。

俳優のお仕事を始めた時からそうされているのですか?

若い頃は猪突猛進と言いますか、カッコよく言えばストイック、悪く言えば自分しか見えていなかったので、常に全力で考えていたと思います。でも年を重ねるにつれてオフも大事だと思うようになりましたし、何よりも考えていない時の方がアイデアが降りてくるということに気付きました。何かヒントを得たいだとか、手がかりが欲しいだとか思っている時って本当に何も出てこないんですよね。頭の片隅にだけ置いておいて、ふとした瞬間に降りてきたアイデアを1つ1つ積み上げていくスタイルの方が合っていると感じています。

ヘアメイク:竹野内宏明(Hiroaki Takenouchi)
スタイリスト:下田梨来(Rira Shimoda)
ヘアメイク:竹野内宏明(Hiroaki Takenouchi)
スタイリスト:下田梨来(Rira Shimoda)

そんな俳優業の魅力とは何でしょうか。

一番は色んな人たちと出会えることだと思いますが、自分以外の人間の人生を疑似体験できるというのも面白いなと思っています。でも正直に言うと、恥ずかしながら今の自分にはこの職業について、まだいろいろ答えられない事の方が多いというのが本音です。ずっと俳優業の魅力を模索しながら続けているような気がする一方で、もしかしたら役者自身が考えることでもないのかもしれません。それよりも、自分が関わった作品に対して、第三者にどのように魅力を感じてもらえるかということを大事にしていきたいなと思っています。

【作品詳細】
映画『唄う六人の女』
公開日:2023年10月27⽇(⾦)
監督:石橋義正
脚本:石橋義正、⼤⾕洋介
編集:⽯橋義正
出演:竹野内豊、山田孝之、水川あさみ、アオイヤマダ、服部樹咲、萩原みのり、桃果、武田玲奈、津⽥寛治、⽩川和⼦、⽵中直⼈

©2023「唄う六⼈の⼥」製作委員会

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