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前衛アーティスト・田中敦子の回顧展「アート・オブ・コネクティング」を東京現代美術館で開催、関連イベントにも注目

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イギリス・バーミンガムのアイコンギャラリーを皮切りに、スペイン・バレンシア州 のカスティジョン現代美術センターを巡回した「田中敦子展」が、2012年2月4日(土)より東京都現代美術館で開催される。

前衛アーティスト・田中敦子の回顧展「アート・オブ・コネクティング」を東京現代美術館で開催、関連イベントにも注目 | 写真 前衛アーティスト・田中敦子の回顧展「アート・オブ・コネクティング」を東京現代美術館で開催、関連イベントにも注目 | 写真
左) 田中敦子 《電気服》 1956年 (1986年再制作)
所蔵・写真提供:高松市美術館 ©Ryoji Ito
右) 田中敦子 《「電気服」に基づく素描》 1956年 所蔵・写真提供:金沢21世紀美術館
撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ ©Ryoji Ito

本展は作家自身の監修のもとに再制作された《作品》(ベル)、《電気服》をはじめとした代表作約100点で構成され、革新性を模索し続けた彼女の歩みを回顧する。また、本展の共同企画者である3館の代表者を招いておこなわれるオープン記念トークセッッション「田中敦子のつないだもの」や、ドキュメンタリー作品「田中敦子 もうひとつの具体」の上映など関連プログラムが盛りだくさんだ。

田中敦子(1932-2005)は、戦後日本の前衛美術グループ「具体」を代表する女性アーティスト。東京都現代美術館チーフキュレーター長谷川祐子は、「いま、なぜ世界中が彼女に注目するのか?」という問いに2つ答えを見出している。「今までに見た事のない」新しい芸術をつくろうとした、ストレートでみずみずしい感覚とエネルギーにあふれる「具体」などの日本の前衛アートに世界が注目していること。そして「具体」の中でも、パフォーマンスやインスタレーションを取り入れた表現で異彩を放つ田中敦子の予言的な作品性だ。電球の明滅、一つ一つの惑星、命の明滅を円であらわし、それをひたすらつないだ作品は、ネットワークで世界がつながる現在の姿を映し出しているかのよう。アートオブコネクテング、一つの絵画ではなくそれが複数、空間を満たす事でお互いがシンクロしている。

前衛アーティスト・田中敦子の回顧展「アート・オブ・コネクティング」を東京現代美術館で開催、関連イベントにも注目 | 写真 前衛アーティスト・田中敦子の回顧展「アート・オブ・コネクティング」を東京現代美術館で開催、関連イベントにも注目 | 写真
左) 田中敦子 《地獄門》 1965-69年 所蔵・写真提供:国立国際美術館 ©Ryoji Ito
右) 田中敦子 《作品 (6) 》1955年 所蔵・写真提供:東京都現代美術館 ©Ryoji Ito

後に夫となる画家・金山明とともに、吉原治良の指導のもとに結成された前衛団体「具体」に参加。自由を求めニューヨークに渡り評価されたオノヨーコや草間弥生とは異なり、日本で自らの表現を模索し続けた。近年では、現代美術の動向を知る上で、ヴェネチア・ビエンナーレと並び重要と見なされている大規模な国際展「ドクメンタ12」の出品作家の一人に選出(2007)、昨年はMOMA所蔵の大作が大きく特別展示としてフューチャーされるなど「遅咲きの花」のようにその評価は高まりつつある。

布が風にはためく様から音が空間をめぐるベルや、ネオンの点滅から電気服を生み出すなど、音や光を使った50年代の田中の発想の飛躍と豊かさは希有な存在だ。彼女の歩みはある時は極端にラディカルに展開し、またある時は淡々とした繰り返しのように見える。しかし彼女が障害描き続けた電気服の電球と配線に対応する円と線から成り立ったおびただしいヴァリエーションの絵画群は、すべて一つ一つの作品がつながりあった新たな実験だったのだ。

様々な「つながり」の意味を考えさせた2011年。そして今年は、一人ひとりがその思いをさらに深化させ、これからの生き方の方向性を決める重要な年になるだろう。田中敦子が私たちに発するメッセージに、21世紀の私たちに託されたヒントが隠れているかもしれない。

【展覧会概要】
田中敦子 ― アート・オブ・コネクティング
会場:東京都現代美術館 3F
住所:〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
会期:2012年2月4日(土)~5月6日(日)
休館日:月曜日(4月30日は開館)、5月1日
開館時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団東京都現代美術館、国際交流基金
特別助成:財団法人 石橋財団
協力:NECディスプレイソリューションズ株式会社
観覧料:一般1,000円(800円)、大学生・65歳以上800円(640円)、中高生500円(400円)、小学生以下無料
※()内は20名以上の団体料金
※本展チケットで「MOTコレクション」も観覧可能
キュレーター:ジョナサン・ワトキンズ(アイコンギャラリーディレクター)
コ・キュレーター:
<日本側実行委員>
加藤瑞穂(大阪大学総合学術博物館招聘准教授)
河崎晃一(兵庫県立美術館企画・学芸部門マネージャー館長補佐)
長谷川祐子(東京都現代美術館 チーフ・キュレーター)
<スペイン側>
ロレンサ・バルボーニ(カステジョン現代美術センターディレクター)
担当学芸員:関昭郎(東京都現代美術館 シニア・キュレーター)

【関連イベント概要】
参加費:無料(本展覧会チケットが必要)

■日本展オープン記念トークセッション「田中敦子のつないだもの」※日本語の逐次通訳あり
講演者:ジョナサン・ワトキンス(アイコンギャラリー ディレクター)、ロレンサ・バルボーニ(カスティジョン現代美術センター ディレクター)、長谷川祐子(東京都現代美術館 チーフキュレーター)、モデレーター:関昭郎(東京都現代美術館 シニアキュレーター)
日時:2012年2月4日(土) 午後1時~3時(開場12時30分)
会場:東京都現代美術館 講堂(地下2階)
定員:200名(先着順)

■上映会 ドキュメンタリー「田中敦子 もうひとつの具体」 
日時:2月25日(土)、3月24日(土)、4月28日(土)※各日午後1時、午後4時より(上映時間45分)
会場:東京都現代美術館 講堂(地下2階)
定員:200名(先着順)

■トーク ドキュメンタリー「田中敦子 もうひとつの具体」監督による
日時:2月25日(土)午後2時~3時
会場:東京都現代美術館 講堂(地下2階)
講演者:岡部あおみ(美術評論家)
定員:200名(先着順)

■ライブ 河合政之with浜崎亮太
日時:3月24日(土)午後6時~6時30分 エントランス・ロビー
4月22日(日)午後3時30分~4時30分 講堂
定員:200名(先着順)

■パフォーマンス:上地由衣「Dance Portrait」
日時:4月22日(日)午後3時~3時20分
会場:東京都現代美術館 企画展示室2階ほか

■トーク「光と熱を描く人/田中敦子と金山明のために」
出演:森村泰昌(写真家)× 加藤瑞穂(大阪大学総合学術博物館招聘准教授)
会場:東京都現代美術館 講堂(地下2階)
定員:200名(先着順)

■特別展示
出品作家:松井紫朗、河合政之、上地由衣
場所:Connecting to Atsuko Tanaka 企画展示室2階ほか

■東京都現代美術館HP:http://www.mot-art-museum.jp/index.html

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