sacai(サカイ)の2026年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。今季は、sacaiを象徴するハイブリッドの手法の進化によって、“馴染みあるものから新しいものを創り出す”ことを試みると同時に、着る人の動きと連動して形を変える服を探求した。
ハイブリッドの手法は、sacaiのコレクションで変わらず提案されいることだが、今季は服を超越する彫刻的なシルエットが異彩を放つ。とりわけ注目すべきは、繰り返し多用された「折り返し」のディテールだ。ロングパンツは大胆に開いて、首元や腰元まで織り上げることで揺れ動く曲線を築き、スカートとして提案している。カーゴパンツもジーンズも、見慣れたはずのどれもが“新鮮”に映る。
硬質的なテクスチャー、主にアウターのハイブリッドは、今季のテーマに非常にマッチしている。クラシカルなピークドラペルのジャケットには分解したミリタリージャケットをサーキュラースカートのように配置し、白いカットソーには分量たっぷりのデニムをペプラムとしてあしらった。これらのドッキングは、ダイナミックな動きを創り出すとともにアーキテクチュアルなシルエットを叶えている。
フレアラインのミニドレスは日常を非日常に変えたワンルックといっていい。パーカーの一部分を彷彿とさせるベアトップに、トレンチコートを分解し再構築したスカートをドッキングしている。
もっと細かいところに目を向けてみれば、細部まで“動き”にこだわっていることが読み取れる。ほぐされたツイードの裾、複雑な編地のニットの裾に踊るフリンジは、控えめに揺らぐ。ジャケットに見られる、仮縫いをあえて残したような糸は、今季のテーマを感じさせると同時に、ハイブリッドの過程を思い起こさせた。