カルバン・クライン(Calvin Klein)の2026年春夏コレクションが、ニューヨークにて発表された。

生きたリアルクローズを軸に

ヴェロニカ・レオーニが手掛ける2度目のシーズン。初シーズンとなる前回、2025-26年コレクションでは、「生活のための服」というコンセプトのもとシンプルをつらぬいたが、今季は職人技を駆使し、クラフト感を交えて捻りを加えた。飾り気のない“自らのありのまま”を伝えるリアルクローズを基軸にしながら、着る人の個性や表現力が放出されたときに見る美しさを表現した。

日常を切り取り、個性を宿す

ラフなジャンパースカートだったり、トレンチコートだったり、軽いテーラードだったり……ニューヨークの日常に変わらずあるアイテム群の連続に、カルバン・クライン流のデザインの差し引きが加えられる。例えば、白または黒のエプロンドレスは、直線的なシルエットを取り入れることでエレガントなドレスルックのように。無駄を一切排除したピュアな印象をもたらした。

外出先で着こなすアウター類が、今季はひときわ魅力的。ざっくり羽織ったトレンチコートは、ホワイトシャツやデニムとのスタイリングで、まさにニューヨーカーの等身大の姿を見るかのよう。一方、テーラードのスタイルはほんの一癖加え、ドロップショルダーで提案。スーツスタイルでは、あえて大きく折りあげてくるぶし丈で履くトラウザーを採用している。

外出先で着るものばかりでなく、1日のうち家の中で過ごす1着にも目を向けている。そんな中、カルバン・クラインのアンダーウェアは主役として踊り出た。アイコニックなアンダーウェアに用いられている、ロゴ入りのバンドを編み合わせて作ったドレスルックは、クラフト感満載のとびきり特別な1着と言っていいだろう。また、ルームウエアのようなリラックス感漂うガウンアウターも登場している。

表現力を膨らませるディテール＆ファブリック

動きのあるダイナミックなディテールやファブリックは、イマジネーションを膨らませる手段としてはもってこいだ。光沢のあるフリンジは、流れる水のようになめらかな動きを見せ、捻じれから生まれるドレープは身体との対話を謳歌して揺れ動く。キャミソールドレスを折り返したかのようなレイヤリングには、大きなポンポンをあしらった。

これらディテールに個性豊かなファブリックも追随し、さらにシルエットの面白さも助長する。洗い加工をかけたテクニカル素材は空気感をもたらし、とろりとしたテクスチャーのジャージー素材は、流れるドレープと落ち感によってなめらかなラインを築いた。