オフ-ホワイト (OFF-WHITE)の2026年春夏コレクションが、ニューヨークファッションウィーク期間中に発表された。
混沌とする社会情勢を背景に、自己の開放や創造性の追求が広がっていった1970年代のアメリカ。ブラックカルチャーは、音楽を筆頭に、映画やグラフィティなど様々なジャンルで隆盛し、ヒップホップの源流となる音楽文化も発展を遂げた。
今季はその当時のブラックカルチャーのルーツに立ち返り、エネルギーに満ちた精神を宿しながら、モダンな解釈を交えたコレクションだ。テーマには「ポップロマンス(POP ROMANCE)」を掲げた。
終始一貫して登場したのは、スポーティなスタイル。クラシックなシルエットのテーラードジャケット、には、色の切り替えを施して、モータースポーツを彷彿とさせるディテールを加えた。軽やかに裾が靡くウィメンズのホルターネックドレスまたはトップスも同様で、まるでプリズムのようなスパンコールの煌めきを添えながらも、アクティブなカラーパレットを採用している。アクセサリーとして、二の腕にはリストバンドを着用している。
もう1つ重要な要素として、ユニフォームというキーワードが挙げられる。これは均一化の手段としてのユニフォームではなく、精神的な面における“マインドセット”の意味を込めたという。中でも象徴的に用いられているのが、スーツやワークのスタイリングだ。メンズスーツは、通常身体に沿う滑らかさを出すため施されるダーツ部分や切り替えの部分を、ダブルステッチで仕上げることでタフなデザイン性を強調した。シャツはパステルカラーの優しい雰囲気と打ち消すかのように大胆な肩パットが施されている。
随所にあしらわれているビジューは、“ロマンティック”なムードを顕著に表している。先に述べたようなスーツのスタイリングにおいては、たっぷりとストーンを敷き詰めた襟元によってフェミニニティなニュアンスをもたらした。シフォン素材のストールを留めるアクセサリーなどとしても、煌めくビジューが採用されている。また、黒いジャケットのバックスタイルには、オフホワイトを象徴するアローマークが、煌めきによって表現された。
また、1970年代、自由な精神を追い求める若者たちのヒッピー文化を彷彿とさせるシルエットやデザインも提案。とりわけ目を引いたのが、膝から裾にかけて広がりを見せるベルボトム風のパンツだ。また、ニューヨークの街並みをカラフルかつサイケデリックに描いたプリントや、パステルカラーを基調としたタイダイ模様も同じく、何者にもとらわれない当時の気ままなスタイルを連想させる。