ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)の2026年春夏コレクションが、東京コレクション会期中の2025年9月4日(木)、東京・表参道のTC HOUSEにて発表された。テーマは、「感謝」。
2025年でブランド設立35周年を迎えたツモリチサト。パリでの2018-19年秋冬コレクション以来、7年半ぶりのショー開催となる今季は、35年間洋服作りを続けられたことへの感謝を、デザイナー・津森千里が得意とする“お絵描き”でダイレクトにワードローブへ投影した。
ショーの舞台となるのは、マーガレットの装飾で囲まれた津森自身のアトリエ。ショルダーから襟元までフリルで花びらを形作ったオーガンジードレスのファーストルックを皮切りに、カラフルな花々の刺繍トップスやスカート、花びらモチーフの襟付きワンピース、ざっくり編みのサマーニット、手描きフラワープリントのドレス、マーガレットを描いたデニムのセットアップなど、全身を華やかに彩ったルックが続く。
その後も、人々に希望や恵みを与える虹や地球、太陽、水をプレイフルにアレンジしたモチーフが続々登場。中でも虹は、7色のスパンコールが煌めくドレスや、いくつもの虹や気球が空を浮遊する東京の街の手描きプリントのスカートに加え、概念的に捉えられていたのが印象的だ。たとえばシースルーのトップスには、ピンク・オレンジ・グリーンの細長い布を半円を描く虹のように垂らし、全身で虹を纏っているかのようなビジュアルに。
また、虹を模ったボリューム袖のキルティングジャケットや、袖が4色で構成されたスカジャン、多彩なボーダーやブロッキングを自由に組み合わせたニットワンピースなど、ギミックの効いたデザインへと昇華。虹への想いを聞かれた津森が「虹を見ると前向きになれる…」と涙を浮かべる場面もあった。
ツモリチサトならではのポップな‟円形スリーブ”も健在だ。植物や海の生きものを描いた円形ピースの前後を2枚を縫い付け、立体的かつユニークなディテールに仕上げている。大病を乗り越え、70歳になった今も「面白く生きていきたい」と語る、津森の服作りに対する情熱を感じられた。