チカ キサダ(Chika Kisada)の2026年春夏コレクションが、東京コレクション期間中の2025年9月5日(金)、東京・代官山のTHE FACE DAIKANYAMAにて発表された。
コンクリートが打ちつけられた、無機質な空間で開催されたチカ キサダのショー。今季は、“バレエ×パンク”による相反するエレガンスを提案するチカ キサダのパンキッシュなムードが加速した。また、女性らしい曲線美を強調しながらも、よりリアルな日常を感じさせるアイテム群を採用している。テーマは「Trace」だ。
最初に、繋ぎ合わせのデザインについて言及すべきだろう。第二の肌として纏うはずのヌーディーなタイツは、あえて不規則な接合を繰り替えすことで本来の役割を曖昧にしている。これは足元に登場するだけでなく、レイヤリングによってさまざまなところで登場し、着る人の本来の肌をぼかす。
エッセンシャルなアイテムを再構築したルックは、複雑なパッチワークをいかして肌との空間、あるいは密着を楽しんでいる。マニッシュなシャツ生地の組み合わせから生まれるミニワンピースは、身体のラインに沿う一方、共布で施したパニエの骨組みによって、新たな服の輪郭を生み出している。
前シーズンと同じ、ウィットに富んだ素材使いは、輪郭をぼやけさせたり、くっきりさせたりする。動けばスパンコールがランダムに煌めくロマンティックなシースルースカート、胸下とバッグスタイルがシースルーニットのようになったロゴTシャツなどは、身体のラインをさりげなく見せることをナチュラルに楽しめる。
ブランドの代名詞ともいえるチュールは、マニッシュなテーラードジャケットの袖部分に一部取り付けられたり、ふんわりとしたスカートの左右にフリルをあしらったり…とフェミニンさを補完する役割を果たしている。
クラシックなバレエコアのムードは、先に述べたシャツスカートのパニエ以外にもある。例えば、胸元に大胆なフリルや毛足の長いフリンジをあしらってみせたレオタードのようなピースだ。また、毎シーズン披露されるクリノリンのスタイルは、あえて相反するマニッシュかつ日常着であるシャツ地を用い、コブのような歪な形で表現した。