ウォルター ヴァン ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)は、2026年春夏メンズコレクションを2025年6月26日(木)に発表した。
今シーズンは、「星のような目をした少年のままでいたい」という無垢な楽観主義を表現。希望を見出すのが難しい現代において、たとえ闇に包まれたとしても、人間を信じ世界に希望を抱いて生きていきたい、という願いが込められている。
散見されたのは、浮遊感のあるイノセントなアイテムだ。画家のスモックやコートから着想を得た軽やかなコートは、バックにギャザーを寄せて空気を含むようなシルエットに。水彩画のように淡くにじんだ色彩で、色とりどりの花々をあしらっている。
さらに、赤いステッチが彩るスモッキング刺繍のキャミソールや、クラシカルな小花柄を配したジャケット、手描き風のカラフルなイラストを総柄であしらったシャツなど、子どもの自由なイマジネーションやピュアさを思わせるようなピースが登場している。ニットには、テーマと呼応した「スターリー・アイズ」のスカルをダイナミックに配した。
また、花を挿したハットや光の当たり方で絵柄の変わるバッジ、ごつごつとしたスタッズソールのブーツなど、おもちゃのようにプレイフルな小物も印象的。くつべらのピアスやヘアカーラーのブレスレットなど、カスタムアクセサリーも目を引いた。
ジャケットやベストとパンツをボタンで繋ぎ合わせたジャンプスーツは、18世紀の子供服である「スケルトン・スーツ」から着想を得たデザイン。大きなくるみボタンが、チャーミングなエッセンスをプラスしている。また、ジャケットやパンツにはウォルター・ヴァン・ベイレンドンクの過去の家族写真をあえてゆらいだ質感でプリント。遠ざかっては思い起こされる少年時代の記憶を示唆しているかのような、抽象的な風合いに仕上げた。
コレクション終盤に展開されたのは、構築的なピース。服を曲線的に解体し、彫刻家のジャン・アルプを彷彿させる抽象的な構造に組み合わせている。前合わせや裾の骨組みだけが残されていたり、袖や身頃がふいに空間になっていたりと、枠組みのない多彩なフォルムが披露された。まるでパズルを解いていくときのような、高揚感に満ちた創造性が投影されている。