プラダ(PRADA)は、2026年春夏メンズコレクションを2025年6月22日(日)にイタリア・ミラノで発表した。

多彩な男性像

ミウッチャ・プラダとラフ・シモンズが率いる今季のプラダは、様々な男性像を提示しているのが特徴。トラックスーツを身にまとったスポーツマンや、複数のポケットがついた機能的なバックパックを抱えた、アウトドアの似合うアクティブな男性など、それぞれ異なるライフスタイルを送る男性をイメージしたルックが登場している。

タイトに体にフィットするニットやワンピースタイプのTシャツなど、女性のワードローブに溶け込むようなフェミニンなアイテムも印象的。肩章付きのシャツはシャツワンピースをイメージしており、「男性らしさ」の既成概念の外にいるような男性像も想定されている。

ヒッピーからの着想

ヒッピーカルチャーからのインスピレーションも散見されている。マルチカラーのストライプをあしらったフリンジ付きのニットや、音楽フェスティバルのロゴTシャツから着想を得たプリントTシャツがその好例だ。グラフィカルなプリントトップスもヒッピーから着想を得たデザインが投影されており、カラーブロックのデイジーモチーフやウェーブ模様のトップスにはヴィンテージ加工が施し、風合い豊かに仕上げた。

職人技が光るレザーの装飾やニット

プラダの職人技が光るルックにも注目だ。レザージャケットにはステッチやエンボスによる装飾が細かく配されており、袖口やポケットのフラップには小さなフラワーモチーフをあしらうなど、遊び心を添えた。また、1950年代のドレスをオーバーサイズに解釈したニットトップスは、背面に細かくダーツをとり、立体感のあるフォルムに。ネックラインや裾などにハンドステッチを施したニットも登場している。

「色と色」の組み合わせ

様々なカラーに彩られた釣鐘型ハットやストローハットが見せる、オブジェのような佇まいもアイキャッチ。1950～60年代からインスパイアされたフレッシュなカラーのハーモニーが、アートな雰囲気を際立たせている。

オレンジのハットにレッドのトップス、ピンクのパンツを合わせたスタイリングや、真っ赤なストローハットにアイスブルーのシャツを組み合わせたルックなど、シンプルなデザインながら鮮烈な印象を残す色使いが散見された。グレーのセットアップには、鮮やかなレッドのジャージ、ニュアンスのあるグレーのブルゾンにはライトブルーのインナーや赤いボトムスを組み合わせるなど、ベーシックカラーとヴィヴィッドカラーのコンビネーションが多数登場している。

すっきりしたシルエット

生き生きとした色使いと呼応するかのように、シルエットもすっきりとしている。特に目立ったのは、ラフ・シモンズの幼少期から着想を得たポケット付きのブルマ。丈がシャツの裾から出ないほどに短く仕立てられており、新鮮なシルエットを描き出した。また、グリーンやブルー、ライムグリーンのトラックスーツは身体に沿うジャストなフィット感を採用することで、色を引き立てている。

削ぎ落した佇まい

ファッションの本質を追求するミウッチャ・プラダとラフ・シモンズの姿勢を反映し、コレクション全体を通じてシンプルに削ぎ落したデザインが採用されている。ブラウンのレザージャケットや、パテントレザーのコート、ステンカラーコートなどに見られるペーパーライクな素材使いは、軽快さとともにフラットなイメージをもたらしている。また、服そのものにフォーカスする意図から、トライアングルロゴやブランドロゴなどのアイコンが他のシーズンよりも控えめに配されているのも特徴だ。