MSGM(エムエスジーエム)の2025-26年秋冬コレクションが発表された。
今シーズンのMSGMは、ブランドを象徴する言葉“軽さは表面的なものではない”をコレクションの指針として、目に見えるもの、見えないもの、実体のあるもの、ないものの間に生じる緊張感を表現。軽やかでフラットな意識で、形や物質、感情の境界を探った。
会場に張り巡らされた、光と物質をチュールで表現するアルベロネロのインスタレーション。それとリンクするように、今シーズンの素材の主役はチュールである。透け感のあるチュールを重ね、色に深みや厚みを出したイブニングドレス、スカート、トップスが登場する。いずれも、折り重ねたチュールにより身体のラインがぼかされており、現実と夢の間を漂うような気分が沸き上がる。
ボリューミーなシルエットもまた、実体をぼかす。ふんわりとしたエコファーのロングコートや、フリースのセットアップ、パワーショルダーのダブルフェイス素材のロングコートなどを通じて、実物の身体のラインを覆い隠し、衣服の内側と身体との接地面との境界線をぱっと見では分からないように仕向けた。
イタリアの伝統刺繍であるサルデーニャ刺繍に影響を与えたテキスタイルアーティスト、カテリーナ・フロンギアによる詩的なグラフィックをあしらったルックも豊富。ジャカードニットのトップスやワンピースなど、直線的なシルエットのウェアに取り入れた。
ドレッシーな要素とスポーティーなアイテムが混在しているのも特徴的。上品なローズプリントを配したボディスーツ、鮮やかなレッドが目を惹くウィンドブレーカーやロングスカートなどがその好例だ。中でも、パッと目を惹く色彩で彩られたボディスーツは、チュールのイブニングドレスやスーツとレイヤードさせ、存在感のあるルックに仕上げた。